山の中でキャンプをすると、テントの薄い布1枚が自分の家がわり。外では風の音や、虫たちのささやき、鳥や動物たちがすぐ近くにいるんじゃないかと、耳がやけに大きくなります。クマが出ないか、誰か襲ってこないか、おばけがうろうろしてるんじゃないかって、いつもは感じない不安が湧き上がってきます。怖くて外は覗けない、真っ暗だし。そんなふうに世界に心を開いているときに限って、不思議なことが起こるんですよ。 林明子 さく・え

冒険って聞くだけでわくわくしちゃいます。自然の中に遊びにいく前にぜひ読んでほしい一冊です。読むだけで冒険気分が盛り上がりますよ。もちろん、外で過ごすための役立つ知識がぎゅっと詰まっています。大人でも読み応えのある内容です。 さとうち藍 文 / 松岡達英 絵

棚を整理していたら『グリムの昔話』（愛蔵版）が出てきて、 ホフマンの絵とかっこいい装丁についついうっとりしてしまった。グリムはかつて全部読んだのですが、この本を眺めていたら、魔法使いや謎、不思議がたっぷりで、魔法が残っている時代の話ばかりだってことに改めて気がつきました。これらの昔話に秘められている魔法をあなたはどう読んでいますか？ 僕は息子と読み直してみました。こどもと一緒だと物語が向こうから開くから不思議です。でも最近どうも落ち着いて、こどもに「読む / 語りかける」ということができていなくてよくないのです。どんどん細っていく感じ。時間を盗まれているのかもしれません。グリムの昔話は、なかなか深淵です。 ホフマン 編・画 / 大塚勇三 訳

木のことをもっと知りたいな、思っています。たまに気になって会いにいく木があったり、昔あった木にまた会いたいなぁって思ったりします。木にもそれぞれ個性があるし、あ、名前を聞いてみるともっと仲よしになれるかも。三丁目のコナラさんとか。 高森登志夫 え / 萩原信介 ぶん

食べたい！ という気持ちがないと、とたんに食べるのは難しいことになります。食べたいという気持ちって、空腹だけじゃなくて楽しい食卓が育ててくれるもの。何はともあれ、 食事の時間に緊張感があると、 空腹も引っこんでしまいます。 食べることを支えるのは、「楽しく食べる」という人と人との関係性にあるのかもしれません。口に入れることに精一杯で、こぼしたり落としたりする彼らですが、一生懸命な意欲に惚れ惚れします。大人もこどもも、お互いのことに気遣いながら、こぼしても「拭いてあげるね」というくらいの大らかさを持っていたいものです。 林明子 さく

引っ越してきたばかりで友達のいないかなえ。それなのに誰かが玄関ポストに花束を届けてくれる。そして最後には手紙が。「ともだちはいいです　とてもうれしいです　まっています」。友達は嬉しい。もちろん、悲しいことや辛いこともあるんですけど、嬉しいこともたくさんあります。友達はいいです。何歳になっても。 筒井頼子 さく / 林明子 絵

冬の木々は寒さの中でもしっかりと春への準備を怠りません。えらいなぁ。厳しい寒さに耐えるだけでなく、やがてくる春へ向けて準備をせねばと、この写真絵本を読んだぼくが焦りを感じる始末。『ふゆめがっしょうだん』は、身近な木々の冬芽が主役です。冬芽は、夏から秋にかけて育ち、小さいまま厳しい寒さを我慢します。そして、春になったらグッと葉を出そうと待ちかまえているのです。冬芽のすぐしたには葉っぱがついていた跡があって、そこが顔に見えるんです。落ちた葉の跡と、その葉が蓄えた養分でできた冬芽をとらえた写真たち。その顔がなんともひょうきんで愛嬌があります。 冨成忠夫・茂木透 写真 / 長新太 文

風にのったり、弾け飛んだり、動物に食べてもらったり……。種には成長するための独自のしかけがあります。この本の中では122種もの種が描かれているのです！木や花のように種の形も同じものはありません。本物に忠実に描かれた種たちは大きさも実物大。ページをめくる度に、「へぇ〜」とつい声が出てしまいます。索引と解説には、それそれの特徴や生息地が補足されています。 高森登志夫 え / 古矢一穂 ぶん