アイスクリームが溶けてしまう前に(家族のハロウィーンのための連作)
¥1,540
みえすいた嘘っていうのは、みんな分かっているけど、バカらしいから「それ、嘘!」とは言わない。でも、研ぎ澄まされた嘘っていうのもあって、そういう嘘は一瞬迷う。そして、信じるか信じないか決断を迫られる。嘘っぽいことは本当っぽく語られて、本当っぽいことは、嘘っぽく語られたりすると、コロッと騙されたりする。それに、本当のことには、いろんな隙間があって、限りなく嘘に近い本当のことだったり、嘘は言ってないけど、本当のことも言ってないとかいうことになっていたりもする。〈本当と嘘〉を〈現実と空想〉に置き換えてもなんとなく通じる。児童文学は、現実と異世界が混ざり合う基点があって、その両方を行き来する物語が多い。でも、タイトルや日米恐怖協会という著者名からしてユーモアたっぷりなこの物語は、行き来ではなくて、現実と異世界の〈あいだ〉に立って、両方の世界のことをどっちのことかわからないように語る。そして、基点は愛おしいこどもへのまなざしと、親としての素直な願い。それが、ありのまま語られているところがたまらない。
小沢健二と日米恐怖学会
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