SFの女王、そしてゲド戦記の著者ル＝グウィン。彼女のルーツを知ることができる一冊。ゲド戦記は有名だけど、『闇の左手』は知らない人が多いかもしれない。どっちも好きだけど、ル・グウィンは『闇の左手』のほうが生き生きしている。この本の作者はル＝グウィンの父親です。僕たちがこの物語を読めるのは、イシという人物が、二つの世界の両方を同時に生きてくれたから。つまり、インディアンと白人の〈あいだ〉を白人の言葉で書き残してくれたからです。イシの目を通してインディアンの世界を、そして、イシの目を通して白人の世界を。さらに、自分が自分の目を通して世界をどう見ているのかを教えてくれる。君は、世界をどう見ている？ 。 シオドーラ・クローバー 作 / 中野好夫・中村妙子 訳

魔法使いのゲドは、自分の力を見せつけるために死者を呼ぶ魔法を使う。そのときに得体の知れない影がゲドを襲った。それ以降ゲドは影につけ狙われ続ける。背を向けて逃げていたゲドだが、影の正体を知るために影と向き合い、次第に影を追い詰めていく。 ル＝グウィン 作 / 清水真砂子 訳A Wizard of Earthsea 1968年 / 日本語版 1976年

太古の精霊が支配する地下迷宮。大巫女アルハの生まれ変わりに選ばれ育てられたテナー。あるとき、自分以外は入れないはずの地下迷宮でゲドを見つけ、捕らえる。テナーはゲドとの交流を通して、アルハではなくテナーとして生きることを選び取っていく。 ル＝グウィン 作 / 清水真砂子 訳The Tombs of Atuan 1971年 / 日本語版 1976年

エンラッドの王子アレンと大賢人になったゲド。世界から魔法の力が消えていく中、原因を探るべく、ふたりはあてのない旅に出る。世界のあらゆる秩序が崩壊していくようだった。やがてふたりは、死を恐れ永遠に生きることを求めた魔法使い、クモと対決する。 ル＝グウィン 作 / 清水真砂子 訳The Farthest  Shore 1971年 / 日本語版 1976年

クモとの戦いで力をつか果たし故郷へ戻ってきたゲド。そこには子育てを終え夫に先立たれたテナーと、親に殺されかけた少女テルーがいた。これは男と女と竜の物語。前作から30年近く経ってからの続編。テナーを中心に、物語の前提が大きく組み換えられていく。 ル＝グウィン 作 / 清水真砂子 訳Tehanu The Last Book of Earthsea 1990 / 日本語版 1993年

王となったアレンは、世界を平和に収めようと奮闘していた。そこへ死者たちが助けを求めて夢に現れるというハンノキがやってきて、人里を荒らすことのなかった竜たちは人家を襲い始める。それぞれの物語が絡み合いながら、アースシーの始まりが解き明かされる。 ル＝グウィン 作 / 清水真砂子 訳The Other Wind 2001年 / 日本語版 2003年

アースシーの世界に入り込むほどに、語られていない部分のほうが多いことに気がつく。今まで語られていなかった、ゲドの師匠オジオンが大地震を鎮めたときの話、大賢人になったゲドの話、女性で初めて魔術を学んだアイリアンの物語が語られる。 ル＝グウィン 作 / 清水真砂子 訳Tales from Earthsea 2001年 / 日本語版 2004年