冬になると、息子とわが家の裏にある森へよく出かけている。雪で下草が倒れて冬だから奥まで入れるのだ。夜の森はまだ入ったことないけど、たまにフクロウらしき声が聞こえてくる。息子は、毎年どんどん大きくなっていく。そろそろ夜に森に入れる気がするから挑戦してみたい。そう、この本はみみずくに会う物語。会いに来てくれるといいのだが、音もなく飛び立つ彼らに気がつくことができるか不安である。 ヨーレン 詩 / くどうなおこ 訳 / ショーエンヘール 絵

僕の癖ですが、絵本は最初に絵だけを見ます。その読み方だとさっぱり話がわからない んです。でも、文字も一緒に読むと、急にはっきりとわかりだします。心に残るストー リーです。大切な家族が自分のことがわからないって、泣き出しちゃいますよね。レオ・レオーニのデビュー作です。 レオ・レオーニ 作 / 藤田圭雄 訳

ロビンに弟ができました。ベンジャミン。けれども、具合がひどく悪くなり、病院に行ってそのまま帰ってきませんでした。ママは悲しくて寂しくて泣いてばかり。ロビンも寂しい。ロビンの願いは、パパとママの笑顔でした。 エルフィ・ネイセン 作 / エリーネ・ファン・リンデンハウゼン 絵 / 野坂悦子 訳

命が途絶え、そして受け継がれていく物語なのですが、この本を読む時に、「死」というものをあまり意識したことがありませんでした。死ぬことよりも、もっと強い何かが手元に残る気がするのです。とてもいい絵本です。 ロバート・マンチ 作 / 乃木りか 訳 / 梅田俊作 絵

野生動物たちは、家族の死をどう受けとめるのでしょう。この物語では、かつて生き別れた娘の骨を見つけて、その骨を森まで運びます。僕たちが知らないだけで、動物たちもお葬式をしているのかもしれません。 吉田遠志

花男は野球ばかりしているこどもみたいなお父さんです。息子の茂雄は、お勉強が得意でニヒルな性格の小学3年生。実は、花男と茂雄は一緒に暮らしていません。でも、夏休みに一緒に暮らすことになりました。この本は僕の父親ガイドブックです。花男、父親として最高だなと。花男は、自分の心で感じること、そのために努力すること、そして自分に素直であることをこどもに教えてもらったり、気づかされてばかり。本当は、大切なことをこどもに伝えてあげたいんですけどね。そういうふうに妙に大人ぶっちゃったりしてるのがいけないんだろうな。大人ぶったり、父親ぶる。そういうことを抜きにこどもと向き合うことができるようになりたいものです。それにしても花男が、巨人軍にすぐに入団しなかった理由は、何だったんでしょうね。そこには父親としての願いが込められていた気がしてなりません。 松本大洋

ライオンはサバンナで生活をしています。家族で力を合わせて狩りをしたり、危険から身を守ったりします。ひとりではとても生きるのが大変だからです。この絵本は、その家族から旅立つ弟ライオンの物語です。家族のもとを離れて、新しい家族を探す旅のはじまりです。食べるのも、戦うのも独り。そういう状態のことを「孤独」といいます。孤独というのは悪いことじゃありません。それは家族や仲間に出会うための大切な準備期間なんですね。 吉田遠志 絵と文

言葉にしないとわからないことってあります。でも、言葉にしなくてもわかってしまうことがある。視線や表情、仕草や態度で大体のことは伝わっているんじゃないかなー。いいことも悪いことも。自分の気持ちに嘘をついている人のこともなぜだかわかってしまいます。ぼくたちは、多くのことを言葉を使わずに対話しています。幼い人たちは、毎日わからない言葉に囲まれていますけど、気持ちを感じて、通じ合うことができる。彼らは、身近な親しい大人たちからの愛情がないと生きることができません。 マリー・ホール・エッツ ぶん・え / ふなざきやすこ やく