はるよしさんにきいてみよう

食事は好きだけど投げるのはなぜ?

▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る Q、3歳のこども、食事は好きだけどとにかく投げるのはなぜ?(40代男性) A 幼い人たちも私たちも、行為には目的があります。お子さんが食べ物を投げるのにも目的があるはずです。一緒に探ってみましょう。3歳のこどもがちょっと困ったことをするのは、「こっちを見て!」と、自分に注目してほしい場合が多いです。自分の存在を認めてもらうために困った行動をするのです。では、食事の時にするのはなぜでしょうか? 他の場面よりも注目してもらえると判断しているからかもしれません。お子さんが食べ物を投げた時、あなたやご家族はどのように反応していますか?  録画したビデオを再生するように思い出してみてください。褒めてはいないでしょうけれど、何か話しかけたり、投げたものを拾ったり、相当な注目をし、関わってはいませんか? お子さんにとっては、たとえ叱られたとしても、注目を得られれば目的は果たせるわけです。あるいは、その時のあなたの反応を楽しんでいるかもしれません。「どうして投げるのかなぁ」と言いながらアタフタと片付けているのを見て、面白がっているのかもしれません。なぜそんなことを楽しむのかと思われるでしょう。私たちは自分のしたことが生み出す結果に関心があります。思い通りの結果だともう一度やってみようとしたり、更なる結果を得ようと工夫したりします。お子さんのしていることはそういうことではないでしょうか。親しい人との関わりの中で相手を観察し、自分の行動を評価しているのです。いずれにしても、「注目されること」が食べ物を投げる行為の目的だと思います。 さて、この機会に食事以外の場面でのお子さんに注目してみてください。3歳児は自分の興味・関心に向かって様々なアプローチをします。五感(見る、触る、嗅ぐ、聞く、味わう)を駆使して感じ取ろうとします。面白いと感じた時に、一緒にいる大人にも見てほしいと視線でサインを送ります。それに応えて一緒に感じてみましょう。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。 商品を見る 商品を見る 商品を見る ▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る

Read more →

3歳の息子はどんな夢を見ているのでしょう?

▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る Q、3歳の息子が夜中にうなされて泣きだしました。怖い夢を見たようですが、いったいどんな夢を見ているのでしょう?(40代男性) A 回答を考えながら布団に入ったら、夢の中で突然真っ暗な中に入ってしまって、いくら目を開けても真っ暗なんです。目覚めてから覚えていたのはそれだけで、その前の出来事は消えているのです。お先真っ暗とはこのことで、この質問の回答には相応しくありません。 妻に話したらいろいろ思い出してくれて、高校生の息子が4~5歳の頃、目を覚まして「夢の中でお母さんがいなくなった」と大声で泣いた事があったそうです。回答の糸口(闇に光)が見えてきました。幼い人たちは日々新しい出来事に出会っています。昼寝から目覚めたらお母さんがいなかった。扉が「バシン!」と大きな音をたてて閉じた。散歩中に犬に吠えられた。お風呂で無理やり髪を洗われた。知らない人にいきなり抱き上げられたなどなど。それら一つひとつが夢の元なのではないかしら。自分では制御不能です。誰かに話せたら少しは安心するかもしれません。けれど小さいお子さんには、抱っこして「だいじょうぶ」と言ってやるしかないのです。 もちろん心地よい夢も見ていると思います。お母さんの微笑みと抱っこ、お気に入りの帽子で散歩などなど。眠りながらニヤニヤしている時はそんな夢を見ているのかも知れません。今では2児、3児の父になっている息子たちが幼い頃、「神さま、こわい夢を見ないように守ってください」と毎日お祈りしていました。きっとよく怖い夢を見ていたのですね。毎晩のように眠る前に読んでいたのは、マーガレット・ワイズ・ブラウンの『おやすみなさいのほん』(福音館書店)でした。最後のページには、天使に守られたこどもたちが描かれ「かみさま あなたのけものや うたうことりたちに しあわせをめぐみ ものいえぬ ちいさなものたちを おまもりください。」とあります。三十数年前、はるよしさんはこの絵本を読むことで、こどもたちの祈りに心を合わせていたのだと思います。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。 商品を見る 商品を見る 商品を見る ▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る

Read more →

サンタクロースは今年はお休みですか?

▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る Q、サンタクロースは今年はお休みですか?(40代男性) A サンタクロースは今年も準備をしています。常々どんな状況にも対応できるようにしています。新型コロナウイルスも想定内です。大人たちも大変ですが、こどもたちはもっと我慢したり困ったりしているでしょう。だから、今年は昨年よりも特別なクリスマスになるでしょう。もしかすると友だちと話をして、それで色々考えて今年はサンタクロースが来ないかもしれないと思っている人はいませんか? 大丈夫! 必ず来ますよ! 知っていましたか? サンタクロースは、こどもの喜ぶ顔が見たいのです。プレゼントをもらった時あなたはどんな顔をしていましたか? 毎年毎年繰り返され、その思い出が積み重ねられてきたのは、こどもたちが大人になる前に必要なことだからです。皆さん、大好きな人のためにプレゼントを考えたり、そのために工夫することは嬉しいことなんですよ。その上、プレゼントをもらった人が喜んだら、天にも昇る気持ちです。皆さんよく聞いてください。いつかこどもの君たちが、サンタクロースと同じ喜びを味わうためにサンタクロースは来ます。2020年もサンタクロースは休みません。 ところでぼくは最近、妻の助けをしました。足の筋肉の痛みが強くて動けなくなったからです。助け起こしたり寝かせたり、食事の支度や洗濯をしました。自分が本当に役に立っていると感じました。「助かったわ。ありがとう」と言われると本当に嬉しくなりました。自分以外の人が喜ぶことをするのは、やりがいがあります。大げさなようですが 「生きる目当て」があります。4日目には少し痛みが取れて笑顔がでてきました。困ったことが起きて辛いのですが、お互いに喜びがあるのです。もし、あなたが誰かのために心を尽くし、よく考えて何かをしようとしたなら、その人の助けになるばかりでなく、あなたの大きな喜びになります。今年、サンタクロースはどんな気持ちであなたのところに来るのでしょう。はるよしさんはクリスマスまでそのことを考えてみることにしました。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。 商品を見る 商品を見る 商品を見る ▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る

Read more →

10歳になる息子が時々おねしょをしてしまいます。

▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る Q、10歳になる息子が時々おねしょをしてしまいます。親にすり寄ってくるなど、自分がこどもだった頃に比べてスキンシップが多い気がしますが、何か関係があるでしょうか?(40代男性) A はじめに、5年生くらいまではベタベタと寄って来て甘えることはよくあります。おねしょとスキンシップは無関係です。甘えさせてあげましょう。さて、我が家にも、小学生になってからもズボンの前を濡らしたまま遊んでいたり、小学5年生まで毎日おねしょをしていた人がいました。小児科のドクターに相談したら、身体全体の発達が個々のこどもで異なるように、膀胱の機能が未発達であることが原因だろうと言われました。まずは信頼できる小児科に相談することをお勧めします。少しでも分かると安心します。ただし、かなりプライベートな問題ですから、お子さんと十分話し合って下さい。無理に連れて行かないこと。 わが家でどのように対応したかをお話ししましょう。一番肝心な点は、決して恥をかかせないことでした。ぐっりょりと濡れたズボンやパンツ、おねしょシーツを取り換える時に、言葉でも態度でも恥ずかしい思いをさせないこと。出先でも、他の人からは決して見えないところで機嫌よく取り換えてやるようにしました。そのための準備をいつもしていました。 機能が未発達なのは、励ましても叱っても改善できることではありません。病気が原因でない限り、身体全体の成長をゆったり待つのが良いと思います。わが家で5年生まで毎日おねしょをしていた人には、成人用のおねしょシーツを、洗い替え用と2枚用意して毎日洗濯しました。彼は友達の家に泊まりに行く時におねしょシーツを持って出かけましたが、不思議なことに友達の家では漏らしたことはありません。そしてある時を境にしておねしょをしなくなりました。ズボンの前を濡らしていた人は自分で気付いて取り換えるようになりました。2人とも、身体の機能が徐々に生活に追いついたようでした。 このように相談しにくいことを声に出すのは中々勇気のいることです。専門家の知恵も借りながら、ドクターとは違う立場での対応も役に立つことがあるかもしれません。どうぞ参考にしてください。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。 ▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る

Read more →

お父さんはどうしてお兄ちゃんに厳しいんですか?

▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る Q、お父さんはどうして妹よりお兄ちゃんに厳しいんですか? ぼくはひとりっこですが、友達を見ていると、お兄ちゃんって大変そうって思う時があります。(9歳 男児) A きっと友達のお父さんは、両方の言い分を聞いても妹の方に我慢をさせることが無理だと思って、お兄ちゃんに我慢をしてもらったのだと思います。そういうことはよくあることで、お兄ちゃんには妹のいないところで特別なことをしているのだと思います。お兄ちゃんはそれなりに納得しているのかもしれません。こどもは大人に比べると、たくさんのことを我慢させられています。その友達に「我慢しているの、大変そうに思うよ」と君の感じていることを話してみたらどうでしょう。友達は、君が自分の事を考えてくれていると知って喜ぶと思います。 さて、ぼくは君にとても感心しています。「変だな」と思った事を、言葉にしてくれたからです。君は友達が「大変そう」に思えて、じっとしていられない気持ちになって質問してくれたのですね。質問という形だけれど、「友達のお父さんは不公平ではないか」と感じたのではないですか? 君自身は大人の人に不公平なことをされたことはありませんか? 友達が自分よりも多く褒められたり、自分が友達よりも強く叱られたりしたことはありませんか? いやだと思っても、その気持ちを誰にどのように話したらいいか分からなくなります。君はこの頃、人の話していることや、やっていることを見て、それが正しいことなのか間違っていることなのかを考えることがありませんか? ぼくは君の質問を繰り返し読んでいるうちに、君は正しさや公平さを求める社会の仲間入りをしたのではないかと思いました。多分これから先もっと、不公平なことや明らかに正しくない出来事を目にするかもしれません。今まで見えていなかったものが見えはじめたのです。友達のお父さんは、兄妹の間で起きていることを、公平に解決していないように見えたでしょう。これを機会に、君の問いや意見を聞いて、ぼくの考えをきちんと述べたいと思いました。大人は気付かないでこどもに我慢をさせていることがあります。君が思ったことを言ってくれるおかげで、こどもが暮らしやすくなります。こどもも大人も暮らしやすくなるのが庭しんぶんの目的ですから、これからも君の感じた「変だな」を話してください。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。 ▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る

Read more →

こどもの寝かしつけって必要ですか?

▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る Q、こどもの寝かしつけって必要ですか? 姉や友人は寝かしつけが大変そうですが、海外ドラマを見ていると、1歳未満のこどもでも、ベビーベッドに寝かせて「Good night!」って電気をパチっと消しています。なぜ日本では寝かしつけが浸透しているのでしょう?(30代女性) A ひとことで言うと、文化です。育児は文化のなせる業です。それも地域全体とか、国を挙げてではなく、家族単位で伝わっているものです。結婚して2つの家庭の文化が混ざり合い、調整され、その家庭のやり方となります。お母さんとお父さんは、こどもを寝かしつけている様子を見たことや聞いたことがあって、見よう見まねで寝かしつけを始めるのですね。そして、それがその家庭のやり方になるのです。話し合って決めているわけではありませんから、特に不自由さも感じていません。あなたが端で見ていて思うほど大変ではないのかもしれませんよ。我が家も添い寝でした。ただし、変えようと思えばいつでも変えられます。こどもははじめは戸惑いますが、1週間もすれば新しいやり方に慣れます。だから今一度、暮らしやすい寝かしつけを考えてみてはどうでしょう。スキンシップやぬくもりなどといった、添い寝の効用を説く人がいるかもしれません。けれど、毎日の生活の中でそのことは別の時間にも持てます。 アメリカの絵本『おやすみなさいフランシス』(福音館書店)では、7時に寝ます。アナグマのフランシスはひとりでベッドに入り、お母さんとお父さんは「おやすみ」と言って部屋から出ていき、お茶の時間です。フランシスはひとりで天井を見たり、カーテンを見たり。するとそれが何かに見えてくる。眠れなくてお父さんに「何かいるみたい」と何度か言いにいきます。最後にお父さんは「風はカーテンを揺らすのが仕事、お父さんは毎朝9時に会社に行くのが仕事、おまえの仕事は、早く寝て、朝元気よく起きて幼稚園に行くこと」と話します。そしてついに眠りにつきます。『おやすみなさいコッコさん』(福音館書店)では、お月様がコッコさんとお話して、眠りへといざないます。作者の片山健さんの家ではこうしていたのだろうと思いました。質問者も読者の方々も、寝かしつけを含めて暮らし方を自分たちで考えてみてください。親しい家族と情報交換をして良い方法を考えて試みてみましょう。その上で添い寝がいいとなればそれでいいと思います。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。 商品を見る 商品を見る ▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る

Read more →

お父さんとお母さんは、どうしてけんかばかりするの?

Q、お父さんとお母さんは、どうしてけんかばかりするのですか?(11歳) A それは話し合いではなく、けんかなのですね? 「人間」は、人の間(あいだ)と書きます。人と人はさまざまな関係を結んでいます。その関係の結び方がその人の生き方になると聞きました。親子、兄弟、友達、先生と生徒、それぞれどんな関係を結ぶのか、ということです。お父さんとお母さんの場合は夫婦。これはとても重要な関係です。この関係が上手くいってると周りの人たちは安心ですが、そうでないとなかなか大変です。 関係は言葉のやり取りです。言葉は気持ちと一緒に相手に伝わります。相手の気持ちを考えながら、良い関係を結ぼうと言葉を選べばけんかにはなりません。ところが、気持ちを無視して話すと相手は大抵嫌な気持ちになります。お互いにそれをやり合っているのがけんかです。キャッチボールに例えると、相手が取りやすいボールを投げればお互いに楽しめますが、近くから強いボールを投げられたら取れません。「なんだこいつ!」と、さらに強いボールを返す。そんなやりとりは楽しくありません。 さて、楽しいわけでもないのに、なぜけんかを繰り返すのでしょう? 怒り、悲しみ、イライラなどの整理できない気持ちを、言葉と一緒にぶつけるのが癖になっているからです。これくらいはいいだろうという甘えや、見下した気持ちで言葉をかけると、相手は傷つきます。よく切れる刃物のよう。「大人なのに!」と思うかもしれませんが、大人も感情をコントロールするのは難しいのです。穏やかな気持ちでいる時に、強い意志と賢さによって、嫌な気持ちになった時のことを話し合って整理する必要があります。 夫婦喧嘩をしている時、こどもは怖くて止めることも、どちらかに味方することもできませんね。親は自分たちの事で頭がいっぱいで、こどもの気持ちに気づきません。ぼくもこどもの頃にそういう経験をしたので、夫婦げんかは絶対にしないと決めて結婚しました。そうして40年を迎え、先日君への答えを考えながら妻とこどもと話していました。「けんかしないのは譲り合っているから?」とこどもに尋ねられて、ほぼ同時に「おれだよ」「わたしよ」と答えたので、顔を見合わせて笑ってしまいました。「相手が譲ってくれていると思えたらもっと素敵なのに!」と妻が言い、ぼくも同感でした。 そうそう、お父さんとお母さんは君の見ていないところで仲直りしていることもあります。けんかだけでなく仲直りのしかたも見せてほしいですね。さて、君に提案です。少しばかり勇気を出して、君の気持ちをひと言書いて、この新聞と一緒に、お父さんとお母さんに渡してみてはどうでしょう。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。

Read more →

こどもを育てられるか不安。春義さんはどうでしたか?

▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る Q、こどもはほしいですが、私に育てられるか不安。春義さんはどうでしたか?(20代女性) A なぜか私たちは自分のあかちゃんの時代のことを忘れて大人になってしまいます。あかちゃんの時の気持ち、言いたい事、してほしくないことを覚えていればそれが役に立つのではないかと思うのです。でもそうではないから、なぜ泣いているのだろう? お腹が空いているのかな? おむつが汚れているのかな? どこか痛いのかな? 一体今何を感じているのだろう? 笑っているので機嫌がいい。なかなか応じてくれないのでイヤなんだ。というように推測しながら付き合っていくのだと思います。目の前のあかちゃんのことを知ることなしに育てられないわけです。 だからぼくも不安でした。誰しも初めての事には不安を抱くものです。けれど人によって、不安の種類も、強さも対応するやり方も違います。ぼくは長男が生まれる時に無事に生まれるかどうかを心配していました。無事に生まれて本当に安心しました。そこから始まりましたから、毎日生きていてくれることが嬉しかったです。はじめはオッパイを飲ませること、おむつを替えること、お風呂に入れること、寝かせること、機嫌のいい時にあやすこと、そういうことの繰り返しです。ぼくにできたのはお風呂くらいでした。時間をかけて成長しますから、少しずつやり方を考え、覚えればいいです。ぼくは先輩に岩波書店の松田道雄の『育児の百科』を薦められて、毎日こどもの現在と同じ項を読んで、少しずつわが子のことを理解しました。不安が漠然としたものならば、「春義さんも不安だったのだからわたしが不安になっても当たり前、春義さんと同じ事をやってみよう」と吹っ切れるかもしれません。しかし今一度、不安の根を探ってみましょう。こどものことが良く分からないから? 必要な時の助けはどこにあるの? 仕事や家庭生活のやり方が変わってしまうから? それがわかれば対策は可能です。考えていくといろいろな葛藤が出てくるかもしれません。その時にはあかちゃんが機嫌よく健やかに過ごせることを第一に考えるとたいてい上手くいきます。親も友達も助けになりますし、いろいろな社会資源も使えます。必ず乗り越えられます。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。 商品を見る 商品を見る ▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る...

Read more →