はるよしさんにきいてみよう

こどもはいつお父さんという存在を認識するの?

▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る Q、こどもはいつお父さんという存在を認識するの? お母さんは確実に認識している気がするけど、お父さんという存在は、いつ、どういうところから認知するものなのでしょう?(30代男性) A こどもが「自分の遺伝子の半分はお母さんから、あと半分はお父さんから受け継いでいる」と理解し、さらに「お母さんは自分を生んでくれた人で、お父さんは自分とお母さんと共に暮らし、守り育ててくれる人」と明確に理解できるのは8歳か9歳くらいではないかと思います。こどもはお母さんのおなかの中にいる時から、お母さんの匂いをかぎ、声を聴き、生まれた途端にその腕に抱かれ、おっぱいをくわえ、ほとんどすべての欲求を満たしてもらいます。だからこどもは命がけでその存在を頼りにします。お母さんをそういう存在として認識しているでしょう。 さてお父さんは何をする人でしょうか? お父さんがしていることが重要です。お風呂に入れてくれる。たかいたかいをしてくれる。「お父さんだよ」と言ってのぞきこんでくれる。それらの中でも赤ちゃんにとって最も重要なのは、おっぱいを飲ませてくれる人と微笑みをかわし、自慢そうに自分を見て、名前を呼んでくれることではないでしょうか。また、お母さんが安心して赤ちゃんのお世話をするためには、精神的に安定していることが不可欠です。それに一番貢献できるのがお父さんです。『驚くべき乳幼児の心の世界』(ミネルヴァ書房)では、生後3か月の赤ちゃんが、母親に向けていた注目を笑顔を残したまま父親にも向けることが記されています。どうぞ赤ちゃんを良く見てください。すでにあなたをかけがえのない人として見つめています。 とにかくお父さんのできることを毎日することで、こどもはお父さんは何をする人かを認識します。そうするうちに赤ちゃんはお母さんには安心を求め、お父さんにはワクワクを求めます。1歳の赤ちゃんは、間違いなくお父さんをそういう存在として認識しています。あなたにたかいたかいを求めて両腕を広げてくるとき、お父さんを求めています。でも、泣いている時に抱こうとすると手を払われてしまう。「今は、お母さんがいいの!」ということです。これが答えです。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。 商品を見る 商品を見る ▷ はるよしさんに聞いてみよう 一覧に戻る

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忙しい毎日の中でこどもと向き合うには?

Q、忙しさに追われて、5歳の息子と落ち着いて向き合う時間が取れません。心が通った時間を毎日の中で確保したいです。何か良い方法があるでしょうか?(30代男性) A 「忙しいから仕方がない」とあきらめてしまったり、「自分は経済的に支えるのが役目だ」などと言い訳しないで、5歳の息子さんと心が通った時間を毎日確保したい、もう、その切実な気持ちだけで十分と思うほどですが、「心が通う」をキーワードにして考えてみました。まず、お父さんではなくこども自身の喜びと満足を優先することです。そして、相談者の忙しさを考えると短い時間でできることを考えましたが、たまには長い時間をかけて楽しんで欲しいです。 第1の提案。5歳の男の子ですから背が伸びたり、体重が増えていることを褒めてもらうと喜びを感じます。そこで「たかい たかい」を提案します。帰宅してすぐにでも「◯◯君、たかいたかいしようか」と誘います。それに応じて両腕を差し出してくれたら、両脇に手を差し入れ、しっかりと支え、「たかいたかいたかい」と言いながら、自分の目線よりも高く上げます。岩手県遠野市でわらべ唄の伝承者である阿部ヤエさんは、「たかい たかい」には4つの効果があると言います。①しっかり支えてもらう事で信頼感が育つこと、②いつもと違う目線で関わる楽しさを味わうこと、③高いところに慣れること、④成長を喜んでもらうこと。この中でもこどもの体をお父さんの腕でしっかりと支えることは信頼感が育つうえで特に大切です。ぽーんとこどもの体を放るようなことは絶対にしないこと。どんなに喜んでいるように見えても一瞬の不安と驚きを感じますから。また、こどもの体を降ろす時には「この間よりも大きくなったね。重たくなったね」と言ってあげると、自分の成長を確認し喜びます。ほんの30秒ほどのことですが、お父さんも信頼されることと、成長を確認している様子から大きな喜びを感じます。 第2の提案は朝の15分の散歩。朝がだめなら夕方でも。近くの公園まで、あるいはご近所を一回り。「少し早く起きて明日の朝から2人で散歩しよう」と誘います。予めこの時間までと決めておきます。目的地に行くためではなく、散歩そのものが目的です。こどものペースにとことん合わせます。支度を急かしたりしない。しゃがんでありを見つけたら隣にしゃがんで見ます。こどもが先に行ったら角で待っててねと約束しておきます。近所のお庭のお花を見たり、すれ違う人と挨拶したり、毎日同じコースを辿っても楽しいです。一回りして「ただいまー」と帰ってくるまで15分、物足りない感じがしますけど開放的で嬉しい時間です。「明日もまた行こうね」と約束します。 第3の提案は絵本を読むこと。5歳のこどもは10章ほどに分かれている単行本「エルマーのぼうけん」などを楽しめるようになります。1日に1章ずつお父さんが読むと決めます。朝でもいいし寝る前でもいい。あるいは曜日を決めてもいいでしょう。とにかくお父さんに読んでもらわなければ進まないわけです。読み始めるには覚悟が要りますが、読み終わった時はとても嬉しいです。お話が2人だけの共通体験になり、それが嬉しいのです。 以上3つの提案のいずれかでも相談者の現実に沿うものであることを願います。お父さんが忙しい今が、こどもが育つ一番大切な時間でもあります。この時を失うと取り返せません。5歳の息子さんが将来描く父親像はこの時につくられるのではないかと思うのです。応援します。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。

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離婚したばかりの父です

Q、離婚したばかりの父です。月に一度面会している息子(3歳)が、別れ際に奇声をあげたりして不安になります。どうしてまた離ればなれになるのか、こどもながらに苦悩している様子。面会を続けるべきか、回数を減らすべきか、逆に増やすべきか悩んでいます。 離婚は親の都合。こどもが健やかに暮らす権利を剥奪する罪であるとすら感じています。罪の意識から面会すべきと思っていますが、時には控えることも必要でしょうか?(30代男性) A 私は小学生のころ、割れたガラス瓶で手のひらを深く切り3針縫いました。50年以上経った今も跡が残っています。身体に負った傷は手当てが出来ます。しかし、人間関係で負った傷はとても難しいです。相談者は離婚して2ヶ月、傷は生々しく、触れることもためらわれるでしょう。大人とこどもが負う傷は違いますが、痛みは辛く長く続きます。 大人は出来事を振り返り、言葉にしながら整理したり、信頼できる人に相談して、混乱から抜け出します。こどもは身近な人々との関係性の中で秩序感と安心感を得て意欲的に生活します。しかし、離婚によってこの関係性が自分の意志によらず変わりますから大変です。そして自分の状況を言葉で表現することも誰かに相談することも難しく、混乱と不安と恐怖の中で苦しみます。 大人とこどもの違いを理解した上で、これからのことを考えましょう。 相談者は、月1回の面会が終わる頃、奇声をあげたりと不安定なこどもの様子を見て、面会を控えるべきか、増やすべきかと悩んでいます。 3歳のこどもの側から考えると、いつ、どこで、どのように過ごすのかを知らないまま面会をするわけですから、別れ際に不安になるのは当然のことです。そのためには月1回の面会を決めた通りに続けることです。カレンダーに印をつけて、その日を楽しむ計画を立てましょう。こうして関係性を再構築し秩序感と安心感を築いて欲しいと思います。初めのうちは、同じ場所、同じ時間に会って同じ過ごし方をすると良いでしょう。回を重ねながらサンドイッチを持ってハイキングに出かけるとか。銭湯に行くとか。冬なら公園でそり遊びをするとか。そして、抱っこやおんぶや肩車など身体を触れ合う機会を作り、その日を思い出として語れるようにしましょう。 約束は絶対に守りましょう。相談者は「罪の意識にかられて、面会すべきと思っていますが」とありましたが、「共に、困難に立ち向かう同志」という意識で過ごして欲しいと思います。4年経てば小学生、48回の思い出を語れます。10年経てば120回の思い出です。その時には中学生です。多分、父と過ごした120回が必要なのがこの時期かもしれません。語り合うことができる関係性が父にも子にも生きる上での宝となるでしょう。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。

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