Q、こどもはほしいですが、私に育てられるか不安。春義さんはどうでしたか?(20代女性)
A
なぜか私たちは自分のあかちゃんの時代のことを忘れて大人になってしまいます。あかちゃんの時の気持ち、言いたい事、してほしくないことを覚えていればそれが役に立つのではないかと思うのです。でもそうではないから、なぜ泣いているのだろう? お腹が空いているのかな? おむつが汚れているのかな? どこか痛いのかな? 一体今何を感じているのだろう? 笑っているので機嫌がいい。なかなか応じてくれないのでイヤなんだ。というように推測しながら付き合っていくのだと思います。目の前のあかちゃんのことを知ることなしに育てられないわけです。
だからぼくも不安でした。誰しも初めての事には不安を抱くものです。けれど人によって、不安の種類も、強さも対応するやり方も違います。ぼくは長男が生まれる時に無事に生まれるかどうかを心配していました。無事に生まれて本当に安心しました。そこから始まりましたから、毎日生きていてくれることが嬉しかったです。はじめはオッパイを飲ませること、おむつを替えること、お風呂に入れること、寝かせること、機嫌のいい時にあやすこと、そういうことの繰り返しです。ぼくにできたのはお風呂くらいでした。時間をかけて成長しますから、少しずつやり方を考え、覚えればいいです。ぼくは先輩に岩波書店の松田道雄の『育児の百科』を薦められて、毎日こどもの現在と同じ項を読んで、少しずつわが子のことを理解しました。不安が漠然としたものならば、「春義さんも不安だったのだからわたしが不安になっても当たり前、春義さんと同じ事をやってみよう」と吹っ切れるかもしれません。しかし今一度、不安の根を探ってみましょう。こどものことが良く分からないから? 必要な時の助けはどこにあるの? 仕事や家庭生活のやり方が変わってしまうから? それがわかれば対策は可能です。考えていくといろいろな葛藤が出てくるかもしれません。その時にはあかちゃんが機嫌よく健やかに過ごせることを第一に考えるとたいてい上手くいきます。親も友達も助けになりますし、いろいろな社会資源も使えます。必ず乗り越えられます。