お父さんはどうしてお兄ちゃんに厳しいんですか?


Q、お父さんはどうして妹よりお兄ちゃんに厳しいんですか? ぼくはひとりっこですが、友達を見ていると、お兄ちゃんって大変そうって思う時があります。(9歳 男児)

A

きっと友達のお父さんは、両方の言い分を聞いても妹の方に我慢をさせることが無理だと思って、お兄ちゃんに我慢をしてもらったのだと思います。そういうことはよくあることで、お兄ちゃんには妹のいないところで特別なことをしているのだと思います。お兄ちゃんはそれなりに納得しているのかもしれません。こどもは大人に比べると、たくさんのことを我慢させられています。その友達に「我慢しているの、大変そうに思うよ」と君の感じていることを話してみたらどうでしょう。友達は、君が自分の事を考えてくれていると知って喜ぶと思います。

さて、ぼくは君にとても感心しています。「変だな」と思った事を、言葉にしてくれたからです。君は友達が「大変そう」に思えて、じっとしていられない気持ちになって質問してくれたのですね。質問という形だけれど、「友達のお父さんは不公平ではないか」と感じたのではないですか? 君自身は大人の人に不公平なことをされたことはありませんか? 友達が自分よりも多く褒められたり、自分が友達よりも強く叱られたりしたことはありませんか? いやだと思っても、その気持ちを誰にどのように話したらいいか分からなくなります。君はこの頃、人の話していることや、やっていることを見て、それが正しいことなのか間違っていることなのかを考えることがありませんか?

ぼくは君の質問を繰り返し読んでいるうちに、君は正しさや公平さを求める社会の仲間入りをしたのではないかと思いました。多分これから先もっと、不公平なことや明らかに正しくない出来事を目にするかもしれません。今まで見えていなかったものが見えはじめたのです。友達のお父さんは、兄妹の間で起きていることを、公平に解決していないように見えたでしょう。これを機会に、君の問いや意見を聞いて、ぼくの考えをきちんと述べたいと思いました。大人は気付かないでこどもに我慢をさせていることがあります。君が思ったことを言ってくれるおかげで、こどもが暮らしやすくなります。こどもも大人も暮らしやすくなるのが庭しんぶんの目的ですから、これからも君の感じた「変だな」を話してください。

藤田春義(ふじたはるよし)
1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。
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