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あなたは、この絵本を読み始めると、地面からにゅーっと手が出てきて、飛行機や車、お父さんやお母さんが地面に吸い込まれていってしまうのを目撃してしまいます。あっという間の出来事です。そして、最後に……。 長新太

エスキモーに伝わる古の物語なのですが、僕は、ここに書いてあることは本当のことだと思っていたりします。柚木さんの絵が、言葉と一緒にまっすぐ入り込んできて、僕のどこかを変えてしまった一冊です。 柚木沙弥郎 絵 / 金関寿夫 訳

アスドリッド・リンドグレーンを知っていますか？ 彼女は言います。「誰かのためにというより、むしろ自分自身のために書いています。こどもだったころの自分を喜ばせようとして楽しんで書いている」んですって。彼女が過ごしたこども時代の幸せな遊びの体験が、いつになっても喜びや楽しみを与えてくれる。ともかく表紙の写真がたまりません。すべてのこどもたちのうえに、朝から晩まで遊びに明け暮れる日々が続きますように。 シャスティーン・ユンググレーン 著 / うらたあつこ訳 / 品切中

花男は野球ばかりしているこどもみたいなお父さんです。息子の茂雄は、お勉強が得意でニヒルな性格の小学3年生。実は、花男と茂雄は一緒に暮らしていません。でも、夏休みに一緒に暮らすことになりました。この本は僕の父親ガイドブックです。花男、父親として最高だなと。花男は、自分の心で感じること、そのために努力すること、そして自分に素直であることをこどもに教えてもらったり、気づかされてばかり。本当は、大切なことをこどもに伝えてあげたいんですけどね。そういうふうに妙に大人ぶっちゃったりしてるのがいけないんだろうな。大人ぶったり、父親ぶる。そういうことを抜きにこどもと向き合うことができるようになりたいものです。それにしても花男が、巨人軍にすぐに入団しなかった理由は、何だったんでしょうね。そこには父親としての願いが込められていた気がしてなりません。 松本大洋

大きな石が生き物の形に見えることありますよね。アイスランドの昔話では、その巨石の正体は太陽に当たると石になってしまうトロルのお母さんだったんですって。トロルも恋をして、子育てをして、とても幸せな毎日をすごしていたみたい。いつか、石から戻らないのかしらん。 ヘルガドッティル 作 / ビルキングトン 絵 / やまのうちきよこ 訳

ひとつの言葉から始まって、そこへ新たな言葉がどんどん加わって、それを繰り返していく言葉遊びのわらべうたです。繰り返す部分が増えていくので、物語の展開も場面も想像できてしまうんですけど、繰り返すっていうことを繰り返すだけで、だんだん盛り上がっていくから不思議。そして目をつぶっても読めるようになります。 フェリックス・ホフマン え / おかしのぶ やく

吹雪が続きます。厳しい冬の寒さのため、食べ物が底をつき、知恵を出し切ってあらゆることをしてもなお、食べ物が何もなくなりました。こどもはお腹をすかせています。そんな中、村人たちは、自然の中で孤独に過ごすメディシンマンに助けを求めます。そして、彼は三日三晩太鼓をたたくのでした。 知恵者の知恵って不思議です。 秋野和子 再話 / 秋野亥左牟 画

ビブスはふてくされて洗濯カゴの中に隠れてた。不機嫌でむしゃくしゃしてたから、欲しいものを叫んでみた。するとそれが出てきたの。でもなんか様子がおかしい。しまいには世界が消えてなくなっちゃった。さてどうするビブス！ ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー 作 / ロートラウト・ズザンネ・ベルナー 絵 / 山川紘矢・山川亜希子 訳