Q、離婚したばかりの父です。月に一度面会している息子(3歳)が、別れ際に奇声をあげたりして不安になります。どうしてまた離ればなれになるのか、こどもながらに苦悩している様子。面会を続けるべきか、回数を減らすべきか、逆に増やすべきか悩んでいます。 離婚は親の都合。こどもが健やかに暮らす権利を剥奪する罪であるとすら感じています。罪の意識から面会すべきと思っていますが、時には控えることも必要でしょうか?(30代男性)
A
私は小学生のころ、割れたガラス瓶で手のひらを深く切り3針縫いました。50年以上経った今も跡が残っています。身体に負った傷は手当てが出来ます。しかし、人間関係で負った傷はとても難しいです。相談者は離婚して2ヶ月、傷は生々しく、触れることもためらわれるでしょう。大人とこどもが負う傷は違いますが、痛みは辛く長く続きます。 大人は出来事を振り返り、言葉にしながら整理したり、信頼できる人に相談して、混乱から抜け出します。こどもは身近な人々との関係性の中で秩序感と安心感を得て意欲的に生活します。しかし、離婚によってこの関係性が自分の意志によらず変わりますから大変です。そして自分の状況を言葉で表現することも誰かに相談することも難しく、混乱と不安と恐怖の中で苦しみます。 大人とこどもの違いを理解した上で、これからのことを考えましょう。
相談者は、月1回の面会が終わる頃、奇声をあげたりと不安定なこどもの様子を見て、面会を控えるべきか、増やすべきかと悩んでいます。 3歳のこどもの側から考えると、いつ、どこで、どのように過ごすのかを知らないまま面会をするわけですから、別れ際に不安になるのは当然のことです。そのためには月1回の面会を決めた通りに続けることです。カレンダーに印をつけて、その日を楽しむ計画を立てましょう。こうして関係性を再構築し秩序感と安心感を築いて欲しいと思います。初めのうちは、同じ場所、同じ時間に会って同じ過ごし方をすると良いでしょう。回を重ねながらサンドイッチを持ってハイキングに出かけるとか。銭湯に行くとか。冬なら公園でそり遊びをするとか。そして、抱っこやおんぶや肩車など身体を触れ合う機会を作り、その日を思い出として語れるようにしましょう。
約束は絶対に守りましょう。相談者は「罪の意識にかられて、面会すべきと思っていますが」とありましたが、「共に、困難に立ち向かう同志」という意識で過ごして欲しいと思います。4年経てば小学生、48回の思い出を語れます。10年経てば120回の思い出です。その時には中学生です。多分、父と過ごした120回が必要なのがこの時期かもしれません。語り合うことができる関係性が父にも子にも生きる上での宝となるでしょう。