はるよしさんにきいてみよう

学校に行きたくない中学生の娘

Q、中学1年生と小学生の娘がいる母です。中学生の娘は学校に行きたくないと、たまにお休みしたりします。多くは語りませんが、「先生が、これはいずれ役に立つというけど、それも良くわからないし、行く意味もわからない。」とこぼしています。私は、こどもが学校に行きたくないというのは大した問題だとは思っていません。ただ、私が通っていた頃の学校と、今の学校は何か違っているように感じます。教師たちは、多忙な中で懸命に子どもと向き合いながら、自分の体調も崩してしまう状況があります。教師とどのような関係を作ればいいのかわかりません。どうすれば良いでしょうか?(30代女性 母) A 私も四男坊が中学生の時「父さん、理科は何でやるんだ? 俺、高校に行きたくない。もう勉強するの嫌だ。」と言われ、かろうじて「高校ぐらいはいかないとな」と発した言葉が、答えになっていなかったことを思い出しました。相談者も当時の私と似た状況だと思いました。相談者は、教師と自分、教師と娘さんが良い関係を築くことが出来れば、娘さんが前向きに生活できるのではないか? とお考えです。そのためにはどうしたら良いでしょう? というご相談だと思います。 その問いに答える前に、中学1年生の娘さんの言葉に注意を向けます。そこに重要なことが含まれています。先生が、勉強や中学校生活について話した内容に問いを発しています。「何のために勉強するのか?」「何のために中学に行くのか?」それは、「何のために生きるのか?」「私は何者なのか?」と言う自分の存在に対する根源的な問いにつながっています。誰しもが一度は発する問いです。しかしそれが存在そのものに対する問いだとは気付かないかもしれません。成績や態度の良し悪しで問いが隠れてしまうこともあるでしょう。近くにいる大人が、問いの意味を上手く気付かせてやれると良いと思います。 学校に行きたくないのは、意味を見出していないからでしょう。意味の分からないことをするのは疲れます。学校を時々休むことに相談者が寛容なのは、娘さんと信頼関係が築かれているからでしょう。この信頼関係に基づいてお話しできたら良いと思います。生活の中心である勉強や学校のことから生きる意味を考え始める年齢を迎えたこと。それを考えながら生きることが良い生き方につながること。誰のためにどのように自分の心や身体を使っていくのか、想像力を働かせること。そして、娘さんが聞いてくれるなら、相談者がこれらのことを、どのように考えているか伝えましょう。また、娘さんが信頼している方と、この話題でご一緒に話されるのをすすめます。世の中には多くの人がいて、誰かのために懸命に生きている人がいることを知らせてほしいと思います。そこに学校の先生を加えたらどうでしょうか。中学校の先生は確かに忙しいですが、生きる意味を問い始めている生徒には喜んで時間を使うはずです。娘さんに対して押し付けにならないように注意しながら。 この時期に誰とどんな過ごし方、どんな会話をするかがその後の生き方を左右する気がします。中学生の娘さんが出会う人は、人生の道標にも、反面教師にも、目標にもなります。それは娘さん自身が決めることです。社会や親に対して強い反発や反抗心を持つようになることもあります。また、誰かの役に立ちたいと明確な願いを持つかもしれません。  自分で考え自分で決める人生の船出をしたのです。まだ、港を出ていないかもしれませんが、いずれ荒波をくぐりぬけて目的の港へ着くでしょう。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。

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離婚したばかりの父です

Q、離婚したばかりの父です。月に一度面会している息子(3歳)が、別れ際に奇声をあげたりして不安になります。どうしてまた離ればなれになるのか、こどもながらに苦悩している様子。面会を続けるべきか、回数を減らすべきか、逆に増やすべきか悩んでいます。 離婚は親の都合。こどもが健やかに暮らす権利を剥奪する罪であるとすら感じています。罪の意識から面会すべきと思っていますが、時には控えることも必要でしょうか?(30代男性) A 私は小学生のころ、割れたガラス瓶で手のひらを深く切り3針縫いました。50年以上経った今も跡が残っています。身体に負った傷は手当てが出来ます。しかし、人間関係で負った傷はとても難しいです。相談者は離婚して2ヶ月、傷は生々しく、触れることもためらわれるでしょう。大人とこどもが負う傷は違いますが、痛みは辛く長く続きます。 大人は出来事を振り返り、言葉にしながら整理したり、信頼できる人に相談して、混乱から抜け出します。こどもは身近な人々との関係性の中で秩序感と安心感を得て意欲的に生活します。しかし、離婚によってこの関係性が自分の意志によらず変わりますから大変です。そして自分の状況を言葉で表現することも誰かに相談することも難しく、混乱と不安と恐怖の中で苦しみます。 大人とこどもの違いを理解した上で、これからのことを考えましょう。 相談者は、月1回の面会が終わる頃、奇声をあげたりと不安定なこどもの様子を見て、面会を控えるべきか、増やすべきかと悩んでいます。 3歳のこどもの側から考えると、いつ、どこで、どのように過ごすのかを知らないまま面会をするわけですから、別れ際に不安になるのは当然のことです。そのためには月1回の面会を決めた通りに続けることです。カレンダーに印をつけて、その日を楽しむ計画を立てましょう。こうして関係性を再構築し秩序感と安心感を築いて欲しいと思います。初めのうちは、同じ場所、同じ時間に会って同じ過ごし方をすると良いでしょう。回を重ねながらサンドイッチを持ってハイキングに出かけるとか。銭湯に行くとか。冬なら公園でそり遊びをするとか。そして、抱っこやおんぶや肩車など身体を触れ合う機会を作り、その日を思い出として語れるようにしましょう。 約束は絶対に守りましょう。相談者は「罪の意識にかられて、面会すべきと思っていますが」とありましたが、「共に、困難に立ち向かう同志」という意識で過ごして欲しいと思います。4年経てば小学生、48回の思い出を語れます。10年経てば120回の思い出です。その時には中学生です。多分、父と過ごした120回が必要なのがこの時期かもしれません。語り合うことができる関係性が父にも子にも生きる上での宝となるでしょう。 藤田春義(ふじたはるよし) 1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。 はるよしさんに質問する メールに ①年齢、②性別、③質問 を書いて送ってください。質問は、庭しんぶんに掲載されます。※掲載号はランダムなのでご了承ください。

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