庭しんぶん #067「ミヒャエル・エンデ」
COVER STORY
ミヒャエル・エンデ:『モモ』や『はてしない物語』を生み出したミヒャエル・エンデ。彼の物語は、読んだ時の年齢や自分の状況によって、受け取る気持ちが変わるように思います。そして心に深く刺さるのです。忘却や虚無、死をテーマに物語を書いたエンデさん。彼の物語を読んで何を受け取りますか?
BOOK
いくつもの影を持つおばあさん
オフェリアさんはお芝居が大好きなおばあさん。声が小さすぎて大女優にはなれませんでしたが、役者たちがせりふに詰まらないように、その小さな声でささやきかけるのが彼女の仕事でした。街が変わり、劇場は閉鎖し、オフェリアさんは仕事を失ってしまいました。そんな時、一人の影と出会ったのです。『オフェリアと影の一座』ミヒャエル・エンデ 文 / フリードリヒ・ヘッヘルマン 絵 / 矢川澄子 訳
次はいつ読もう
最初に読んだのは中学生の時、次に読んだのは10代の終わり頃。かれこれもう20年は読んでいないことになります。あの時感じた「虚無」と、今感じる「虚無」は同じだろうか……。終わることがない、はてしない物語。その扉を開くのが怖い気もします。『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ 作 / 上田真而子、佐藤真理子 訳
聞くということ
モモは町外れに住む風変わりな女の子。モモにはたくさんの友達がいました。彼女は話を聞くのが上手でしたからね。でも、その友達たちがモモの所に来なくなってしまいました。人と気持ちを分かち合うことをしなくなったのです。『モモ』ミヒャエル・エンデ 作 / 大島かおり 訳
エンデさんへ
主人公のソフィーヒェン。無機質な現実から、ある扉をくぐって違う世界に飛び出しました。でも再び扉をくぐると、そこにいた時のことはすべて忘れちゃう。忘却や虚無はエンデさんのテーマだったんですよね?真っ暗闇で踏み込んだら戻ってこられないような気もしますが、すごく身近でもあります。『だれでもない庭 エンデが遺した物語集』ミヒャエル・エンデ / ロマン・ホッケ 編 / 田村都志夫 訳
ミヒャエル・エンデ:モモ / ジム・ボタン機関車大旅行 / ジム・ボタンと13人の海賊 / はてしない物語 / ロドリゴ・ラウバインと従者クニルプス / ゆめくい小人 / カスペルとぼうや / 魔法のカクテル / オフェリアと影の一座 / エンデのいたずらっこの本 / まほうのスープ / おとなしいきょうりゅうとうるさいちょう / ゴッゴローリ伝説
PEOPLE
世界の庭びと65 ルドルフ・シュタイナー
有機農業から教育まで実践した庭びと
エンデも影響を受けたといわれるシュタイナーさん。「シュタイナー教育」というのを聞いたことがある人も多いはず。彼の独特な教育哲学に基づいた人間教育です。どこを取っても不思議でおもしろい人です。(藤田進)
LIFESTYLE
目できく、手ではなす 2
さいこうのほめことばは「カッコいい」
北海道はスキーシーズンが始まりました。今年も冬休みに息子とスキーに行ってきました。息子は昨年のように転ぶことはないと思っていましたが、スキー板がもつれてすぐに転んでしまいました。大きな声で助けを求める息子。私は「待ってね!」と、手話と声で伝えます。(河野愛)
こどもと本に囲まれて 3
ゴフスタインの絵本
M・B・ゴフスタインの絵本は、ほとんどが小さくてシンプルな線画の本なので、あっという間に読めますが、読んだらきっともう一回読み直したくなるでしょう。じんわりとした温かさがあり、人間や自然や仕事に対する作者の哲学も感じられます。愛とユーモアを持って丁寧に生きていくこと。それがゴフスタインという作家の世界なのだと思います。(森下雅子)
最終回 「問い」をめぐる冒険 6
問いに命を懸けられる?
とうとう最終回です。これまで「問い」というテーマの周辺を気ままに散策してきた。「問いをめぐる冒険」に付き合ってくれた君に、最後にどんな問いかけをしようか。うん、決めた。最後の問いかけは「大切なことを問いかけてくれる人は、近くにいますか?」。(中村頌)
TRAVEL
いとジュニの今月のタンザニア 3
今日はどうしようか
エコビレッジの鶏がひよこをかえした。2羽目までは母鳥と同じ黒色、3羽目は黄色だった。色が違うからか、母鳥は黄色のひよこをつついて殺してしまった。4羽目も黄色で、目をつぶされてしまった。私はひよこを拾い上げておけに入れ、母鳥の代わりに温めた石を置いた。(いとジュニ)
台湾便り 5
好きな人と結婚できる国。
「女の子同士では結婚できないの?」保育士の時、女の子が私に尋ねた。その子にとっての結婚は、「ただ大好きな人と一緒にいる」というイメージだったのかもしれない。台湾はアジアで唯一同性婚が認められている。だからといって、すべての人に偏見がないわけではない。それでも、手をつないでデートをしている幸せそうな同性カップルを見かけると、うれしい気持ちになる。(中島有惟)
CHILD CARE
ゆかいな三にんぐみ
day 589 仲間外れ
仲間に入れてもらえなくて、ぎゃん泣きしたかと思ったら、一瞬で気持ちを切り替えて遊びに興ずるはーちゃん。やりたいことはやってみないと気が済まないので、カードゲームなどルールのある遊びでは、邪魔者扱いsれてしまいます。(藤田進)
はるよしさんにきいてみよう
Q. 鬼って怖いの?(3歳女児)
質問してみよう
BOOK
庭しんぶん編集部で本を出版しました!
子どもの生活と遊びシリーズ第1作目『具材 ーごっこ遊びを支える道具ー』の2作目です。今、絵本は子育ての現場に必要な「道具」です。保育者たちは毎日のように絵本を手に取って、こどもたちに語りかけます。どうして、私たちはこんなにもこどもに絵本を読むのでしょうか?もしかしたら、あまりにも当たり前に絵本があるので、私たちはそこにある価値を見失っているのではなかろうか……。ふと、そんなことを感じたのです。この本はそんな小さな問いから生まれました。『絵本 ーこどもと語り合う道具ー』庭しんぶん 編 / 庭プレス
MUSIC
途方もない始まり
今回はベルリンの音鉄人3人による即興演奏ユニットGroupshowの作品をピックアップ。始まりも終わりも意識されず繰り返されるサウンドに没入必至、気が付けばそこは迷宮?!『Greatest Hits』Groupshow / Faitiche(有田竜祐 / Oven Universe)
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出版・販売元: 庭