カレン族の村の紙ひこうき


みなさんはじめまして、佐々木智子といいます。わが家には5歳になる男の子がいて名前はつむぎといいます。わたしの母は若い頃編み物の先生をしていて、身の回りの物をつくるのがとても好きな人でした。わたしは母の手から出来上がるものに興味津々、自然と見よう見まねで手を動かすようになりました。編み物を覚えると熱を出すほど集中して編んだり、お小遣いを貯めては布を買いわくわくしながら洋服や小物を作ったものです。決して上手ではなかったけれど、工夫して自分で作ったものを使ったり誰かにプレゼントしたりするのはとても楽しかった。

「つくること」をこどもの頃は母に教えてもらい、その後は本を参考にしたり学校で勉強してきたわたしは、大人になって洋服や雑貨を作ることを仕事にするようになりました。ここ数年はタイ・チェンマイでもの作りをする仕事に関わっていて、札幌とチェンマイを行き来しています。

2年ほど前、家族揃ってチェンマイに旅行したときのこと。わたしたち家族と夫の両親とで、チェンマイから車で2時間ほど離れた山岳民族のカレン族のお家へ織物と染物を教わりに行きました。畑で藍を育て、天然染めを生業としている一家です。山あいの大きな家には親戚や近所の人もいて、その中に6~7歳くらいのヤチくんという男の子がいました。わたしは村の伝統の織物を教わって夢中で織っていたのですが、ふと気付くとつむぎとヤチくんが紙ひこうきを飛ばして遊んでいました。紙ひこうき作りが上手なおじいちゃんが折り方や飛ばし方を教えてくれた様子、夫も一緒にわいわいと4人で楽しそうに遊んでいます。言葉は違っても、遊びでつながる楽しさはどこも同じですね。つむぎとヤチくんはすっかりいとこ同士のように仲良くなっていました。

その頃まだ小さかったつむぎはそのうち遊び疲れて眠ってしまいました。すると家のお母さんが近くにあった布とロープを使ってさっと即席のハンモックを作ってくれて、つむぎはその中ですやすや……。その日ご馳走になった食事は畑で採れた野菜と卵を使ったおかずともち米。ひとつのかまどで大勢のごはんを作り、残り野菜は豚の餌にしていました。畑を耕し家畜を飼い、家を建て、糸を紡ぎ布を織る。織った布で作った衣服を身にまとう。村では普通のことなのでしょうが、無駄のない暮らしはとてもあたたかで美しく見えました。

さて、つくることが好きな遺伝子は母からわたしへ、わたしから息子へと引き継がれているように感じます。この前はわたしが編み物をしていると「ぼくもやってみたい!」と言って、何やら夢中で作っていましたよ。


 


佐々木智子
(ささきともこ)
洋服と雑貨の店「cholon」店主。9月21日に庭ビルにお店をオープンしました。紅茶の本「Tea Time」の編集部スタッフ。趣味はアジアの旅と写真、市場めぐり。