メリークリスマス!今月はお母さんの連載がお休み。そこでぼくがきみに手紙を書くことになりました。毎月発行されるのがすっかり当たり前になった庭しんぶんだけど、そもそもどうして新聞なんてつくりはじめたのかっていうと……、それは、きみが大きくなった時に、楽しく読めるものをつくりたいって思ったからなんだ。大人が読むものはたくさんあるんだけど、こどもはいったい何を読むんだろう?って考えて、いろいろ探してみたんだけど、あまりいいものがみつからなかった。そこで自分たちで作ることにしたというわけ。
庭しんぶんを作りはじめたころのきみは、「エベレーター」とか、「……ななつ・やっつ・ココナツ!」みたいな言いまちがいでぼくを笑わせてくれていました。そんな幼いきみと大人たちを同時に楽しませるのは難しかったけど、あっという間に2年が過ぎて、少しずつコツがつかめてきて、ぼくたちは上手に新聞を作れるようになってきました。そして噂には聞いてはいたけど、きみたちこどもの成長スピードは本当にはやい!きみは文字を読み、自分なりの考えを持つようになった。庭しんぶんを自分で読みはじめる日もそう遠くはなさそうです。ぜひ読んでね。「エベレーター」に乗れたころをなつかしく思うこともあるんだけどね。
きみはろばのこで絵本を読んでゲームをして、庭キッチンでごはんを食べる。キッチンの本棚には編集長の進くんが選んだ本がならんでいて、ガラスの向こうではお母さんが働いている。庭ビルには毎日面白い人たちが集まってくるよね。みんな何かをつくってる。やさい、料理、洋服、お家、食器、お店、本、芸術、音楽、保育園や幼稚園などなど。そのこどもたちも集まってくる。
実は庭しんぶんは、進くんのお父さんの春義さんが発行していた「ろばともだより」っていうのが原型なんだ。ろばともだよりをきみたちが楽しめるように改良したのが庭しんぶんってわけ。さらに、庭っていう考え方がどこからやってきたかも話したいけど、その話はまたあらためて。
庭しんぶんはきみの成長の記録で、ぼくの育児日記で、おじいちゃんやおばあちゃんへの手紙で、毎月更新される遺言みたいなもの。ぼくが今大切にしていることや、迷いながら進んでいるようすはきっときみが大人になって読んでも面白いんじゃないかって思うんだ。「パパ、歌いやすくていい曲を書いてよ。ぼく、歌うから」って言ってたね。いや……えーと……ぼくはいい曲は書けないんだけど、庭しんぶんは、ぼくからきみへのメッセージです。いや、きみからのメッセージが形になっているのかもしれないね。きみがココナツになって、庭キッチンで庭しんぶんを読んでいる姿を見たら、ぼくはひそかに泣いちゃうかもね。