月刊絵本2021年3月号

こどものとも 0.1.2.
おおきいくまさん ちいさいくまさん
南塚直子 さく

おおきいくまさんとちいさいくまさん、まったく同じことをしています。小さいとき、兄がやっていることがなんだかすっごく楽しそうだったり、かっこよく見えて、自分もやりたい! と、真似っこしていたことを思い出しました。真似っこは同じことをしてみたいという憧れです。「あの人がやっていることを私もやりたい!」「あの人が食べているのを私も食べたい!」。小さい人だけでなく大人も同じですよね。この本では日常の生活が描かれています。自分と重ね合わせて絵本を楽しめます。読んでいると自然と、おおきいくまさんは少し大きな声で、ちいさいくまさんは少し小さな声で読んでしまいます。そうやって読むと、きっとお子さんもそれを真似っこして読んでくれますよ!(TF)

こどものとも年少版
すずめさん おはよう
いまきみち さく

歩いているといろんな鳥に出会います。今日も楽しそうだな、忙しくしてるのかな、と想像しながら歩きます。私がよく散歩で行く公園は、木が生い茂っていて、多種多様な鳥たちの声が聞こえてきます。あっちではスズメ、こっちではヒヨドリ……という風にね。私も鳥たちと一緒におしゃべりしたくなって真似をしてみたり、知らない声が聞こえると、あれは誰だろうとよーく耳を澄ませたり。この絵本も、そんな風にその鳥になりきって真似をしながら読むととっても楽しい。今まで気づいていなかった鳥の声も聞こえてくるかもしれません。(AN)

こどものとも年中向き
ちいさいじてんしゃ りんちゃんのおはなし
ねぎしたかこ 文 / にしかわおさむ 絵

まだ私が小さい頃、お下がりの自転車に乗っていました。私はその自転車がなんだか気に入らなくって、お友達が乗っている自転車に憧れていました。そんな風に思っていたのですから、私の自転車は悲しんでいたかもしれません。気に入っていないと言いつつ、乗り回して大変お世話になったのですが……。(笑)この物語は、自転車のりんちゃんの目線で描かれています。お話に出てくる女の子は自転車とお話ができるのです。羨ましいです。自転車と今日どこに行く? なんて相談したり、ここは坂だから一緒に頑張ろう! なんてお話をしながらお出かけしたら楽しそう! なんて、絵本からどんどん想像が広がり読み終わった後もわくわくしてしまいます。(TF)

こどものとも
なぞなぞ
安野光雅 さく・え

さて、なぞなぞのはじまりです。まずは最初からなぞなぞを楽しんでください。答えの選択肢はたくさんあります。全問正解できるかな? 2回目に読むときは、正解以外の選択肢の絵もじっくり見てみてください。きっとみなさん一度も会ったことも見たこともないのに知っている人ばかりが登場します。シンデレラとかカッパとかね。実際に見たことがないはずなのに、絵を見ただけでそれが何かわかります。作者の安野さんは、誰も見たことがないのに、思い描いているものが同じというのが面白い! と思い、それがこの本を描くきっかけになったそうです。

ちいさなかがくのとも
はるがきた! いいものいくつ?
おおたぐろまり さく

春になると、いろんないきものたちが、ぐんぐん姿を表します。雪の間から顔を覗かせる春の芽吹きを見つけると、なんだか嬉しくて素敵な気持ちになります。それを指折り数えると、春が近づいてくるのを感じてワクワクします。この絵本には、春のいきものたちがたくさん登場します。いったいどこにいるのかな。「あ、カエルが3匹! 他には……?」宝探しみたいに見つける楽しさがあります。出てくるいきものをぜーんぶ見つけることができるでしょうか?! 絵本で見つけられたら今度は身近な場所でも探してみてください。こどもと一緒にいきものの数を数えながらお散歩すると、ぐっと春を楽しめそうです。(AN)

かがくのとも
どうぶつたちの おひっこし
〜どうやって はこぶのかな?〜

平山暉彦 さく

いろんな国の動物が集まる動物園は、私たちをいつでも楽しませてくれます。そんな動物たち、いったいどうやって動物園にやって来たのでしょう。今回のかがくのともでは、普段は見ることのない、動物たちの運ばれる姿が見られます。首の長いキリンや、とび跳ねるカンガルー、それぞれに合わせた運び方があるんですって。工夫を凝らした輸送箱(ケージ)や車もおもしろい。輸送箱の基準は、その動物が生息している国で決められているものもあるそうですよ。そしてやっぱり飼育員さんってすごい! 登場する飼育員さんたちは、みんな一生懸命でとても楽しそうです。(AN)

たくさんのふしぎ
海と川が生んだたからもの 北上川のヨシ原
堀内孝 文・写真 / 牧野伊三夫 絵

ヨシ(またはアシ)という植物は、河川や湖沼などの水辺に生息する植物です。日本全国どこにでも生息しているので、めずらしいものではありません。でもこのヨシは鳥や虫にとっては本当に特別な場所。ヨシ原はとても暮らしやすい場所なのだそう。だから珍しい鳥や虫もいるみたい。そしてこの北上川のヨシ原は10キロも続いてるんですって。どこにでもある植物だけれど、10キロにも渡って広がるヨシ原はきっと圧巻でしょう。一度見てみたい! 20年前にこのヨシ原をみて虜になった作者の堀内さんは、ずっとこのヨシ原を撮り続けました。ヨシ原の景色、ヨシという植物、そこに住む鳥、虫、そしてヨシ原を大切にする人たちその全てが、この北上川のヨシ原の魅力のようです。(TF)

母の友
さよなら、”みんなと同じ” 
個人が尊重される社会を目指して

「はっ」とさせられました。今回の特集は「さよなら、”みんなと同じ”」。この日本の社会には、「みんなと同じ」が良いとされることが多くあります。学校に通うと特に、その風潮が強調されるように思います。そのように教育されてきた私たちは、それがあたりまえと思ってしまっているのではないでしょうか? いろんな人がいて、いろんな考えの人がいて当たり前。みんなの個性を大切にできる、そんな社会になるといいなと思っていながら、気がつかないうちに「みんなと同じ」を強要していないか? 日々点検が必要だと感じました。(TF)