月刊絵本2020年12月号

こどものとも 0.1.2. ひょうたん ころころ
殿内真帆 さく

ひょうたんが、「ころころ ころころ」、ころがりながら、お池に落ちたり、ドロにまみれたり、最後は雪だらけになってしまいます。言葉のリズムが心地よく、自然と歌うように口づさんでしまいます。赤ちゃんと一緒に、言葉のリズムをたっぷり楽しんでください。たぶん音と一緒に体も動いちゃうんじゃないかと思います。ころころころがるひょうたんになった気分で、雪にまみれてみるのも楽しそうですね。殿内さんの作品はどれも彼女らしさが現れていて、いつも気になる作家さんです。(SF)

こどものとも年少版 まだかな まだかな
オスターグレン晴子 文 / エヴァ・エリクソン 絵

クリスマスには楽しいことがたくさん。みなさんは何が楽しみですか? 作者のオスターグレンさんが住んでいたスウェーデンでは、12月に入ると飾り付けをしたりろうそくを灯したり少しづつ準備をしてクリスマスをじっくり楽しむそうです。こんな時だからこそいつもよりも気合を入れてクリスマスを楽しむのもいいかもしれません。絵本の中でもクリスマスを楽しんでいる様子が伝わってきます。絵本の隅々までじっくりどうぞ。ところで登場人物のリサは、上手に作ったクッキーをママとパパに早く見せたくて見せてくてたまりません。楽しみなことを待つって、待ち遠しくて待ち遠しくていても立ってもいられない気持ちになります。大人もこどももみんなリサの気持ちに共感してしまいます。(TF)

こどものとも年中向き おもちつき ぺったんこ
吉かんなりまさこ 文 / 飯野まき 絵

私の家では今でも年末にお餅つきをします。杵と臼でついたお餅は極上です。つるつるもちもちあつあつで、口の中に入れた瞬間幸せな気持ちになります。家族だけじゃなくお友達も誘って大勢でお餅つき、大福作りをするというのもお餅つきの醍醐味で、それがさらに楽しい。この絵本を読むとそのお餅つきの楽しい輪の中に入ったような気持ちになります。今年はお餅つき会ができるのでしょうか。中止になるところも多そうですが、この絵本で十分に楽しんでお餅つき気分を味わってくださいね。(TF)

こどものとも ようようしょうてんがい
環ROY ぶん / 古郡加奈子 え

ラッパーが絵本をつくると、いままでの言葉遊び絵本とは一味違う面白さがあります。詩人とラッパーの言葉の感覚はどこが違うのでしょうね。さてさて、家族で商店街へ買い物に出かけます。いろんなお店の人と会話をするのですが、それがどれも韻を踏んでいるのです。読み手としては、恐る恐る読み始めるのですが、だんだん調子づいてきて、「もう一回最初から読ませて!」と、もっと上手に調子良く読みたくなってしまうわけです。お肉屋さんの店主が牛だったりしてシュールな部分もありますが、商店街にあるお店の名前や貼り紙なんかも細かな楽しみが隠されているので、言葉も絵も大忙し。環ROYさんの『まいにちたのしい』(ブロンズ新社)もおすすめですよ。(SF)

ちいさなかがくのとも つっぴーちゅるる
澤口たまみ ぶん / サイトウマサミツ え

身近にいる野鳥たち。散歩をして見かけても、なかなか名前を覚えることができません。すぐに飛んでいってしまうし、似ている野鳥を見比べようと思っても、見分けがつかなかったりします。今回登場するのは、身近で見ることのできる野鳥たちばかり。丸くて可愛らしいフォルムのエナガ。北海道ではシマエナガという亜種がいて、もっと真っ白くてころっとしているようにみえます。それに、シジュウカラやヤマガラ、コゲラが出てきます。普段気にしていなくても、絵本を読んで、気にしながら散歩をすると、よく見えるようになるものです。こどもと絵本を読んだことを知っているのか、タイミングよく出てきてくれるものです。慣れてくると鳴声でわかるようになり、見えなくてもいることがわかるようになってきますよ。(SF)

かがくのとも つくってあそぼう くつしたにんぎょうげき
林由未 さく

小さい頃、薄手の手袋で母が人形を作ってくれたのをよく覚えています。ただの手袋が帽子をかぶった人に大変身するのがとても嬉しくて、母の手袋と私の手袋両方で作って人形同士で会話したのがとてもいい思い出です。今回は手袋ではなく、穴のあいた靴下、もう履かなくなった靴下! 少し工夫すれば動物に大変身します。作り方をくまさんがわかりやすく教えてくれます。それにとても簡単に作れるので冬のお家の中での遊びにぴったりです。お人形を作った後は、付録をつかって劇場を作って家族を招待して人形劇をしましょう。自分の工夫次第でどんどん遊びが広がります。(TF)

たくさんのふしぎ おんまつり
長岩城載枝 文 / 小西英子 絵

奈良県で一番大きなお祭り「おんまつり」。北海道と奈良では歴史の蓄積が違いすぎるなぁと読みながら感じます。おんまつりがどのようにして行われるようになったのか、そして、今行われているお祭りのひとつひとつが、どのような意味があるのか。それが小西さんの繊細で美しい絵と共に見ることができる一冊です。(SF)

母の友 豊かな暮らしってなんだろう?

今回の母の友の特集は「豊かな暮らしってなんだろう?」です。豊かな暮らしってどんな暮らしでしょう? 最近私はテレビ、電子レンジ、炊飯器、ラップを使わない。ペットボトルは買わないと決めて生活しています。今まで何も考えずに使っていたので、使わないとなるとやはり不便と感じたり、なんて便利な道具なのかと感じます。その一方で、なくても生活できるんだ! と驚きもしました。少し時間や手間がかかることもありますが、手間をかけるということが豊かだなぁなんて思うんです。今年の7月からレジ袋が有料化されました。それが不便と感じる方もいると思います。不便を感じてまでなぜそうしなければいけないのか? 今月号の母の友を読んでみんながもう一度じっくり考えてみる必要があると感じました。家族で何ができるか話し合ってみるのもいいですね。(TF)

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