月刊絵本2020年11月号

こどものとも 0.1.2. ふくろう ほ、ほう
飯野和好 さく

読むというか、親子で、ふくろうになったつもりで楽しんでください。ふくろうになったら、どんな気分なんでしょうか。
それにしても、飯野さんのつくるあかちゃんえほん。なんでしょうね、この雰囲気。ふふっと思わず笑顔になってしまいます。2羽の仔ふくろう、兄弟かなー、姉妹かなー。一番近くにいる人のことってなんだか真似したくなっちゃうんですよね。お母さんふくろうが戻って来たときの嬉しそうな顔。なんとも幸せな気持ちになります。飯野和好さんの描く、生き物の柔らかい雰囲気、すごく好きです。(KH)

こどものとも年少版 やまねずみのひっこし
島津よしのり 作

私の家の周りには、川や大きな公園があって、散歩していると時折、小さなネズミが横断歩道を渡っていきます。かわいい! と思いつつ、横断歩道を渡って何をしているのかな? もしかしてこの家の住人? 渡った先には仲間がいるのかも! なんて想像が膨らんでわくわくします。今回は森に捨てられた靴に住む、やまねずみのお引越しの話。なんと作者の島津よしのりさんの実体験を元に物語ができたんですって!(TF)

こどものとも年中向き ミミコがさんぽにでかけたら
吉岡さやか さく

街の中にいるはずのないタコが登場します。たくさんのふしぎ9月号で、イカは動きが素早く一瞬で体の色を変えると知りました。すごいなぁと関心していましたが、タコもそうなんですね。ネコのミミコは一瞬で姿を変えるタコを追いかけていきます。けれど、タコは隠れるのが上手な上に、街にはタコに似たものがあるから惑わされるんです。物語のなかで、どの場面にもタコがかくれています。かくれんぼの鬼になった気分でミミコと一緒にタコ探し。ぎゅっと集中して探して、見つけるとうれしいものです。みなさん、おこさんが、自分で見つけるまでじっと我慢してくださいね。「どこにいるんだろうねー」とこどもが感じてることに心を合わせる感じです。皆さんは全部見つけられるかな?(TF)

こどものとも イワンカとマリイカ ブルガリアの昔話
八百板洋子 再話 / 大畑いくの 絵

昔話というのは昔から語り継がれてきたお話のことで、そこには超自然的なものや教訓めいたものが含まれていたりするものです。それを物語にして、こどもに語りかけながら、語り継いできた「語りの文化」って大切だなって思います。このイワンカとマリイカも、一人は優しくて働き者、もう一人は意地悪でなまけものというもの。日本の昔話でもよくありますよね。昔話では、その国に昔からいる動物や、使われている物が出てくるのも面白いところです。日本ではさる、キジ、犬や熊、そしてきびだんごなどですね。中国の昔話にはごま油が出てきたりするんですよ。イワンカとマリイカはブルガリアの昔話。さてさて、何が出てくるでしょうか?(AA)

ちいさなかがくのとも かきのみ だいへんしん
織茂恭子 さく

織茂恭子さんの絵本。ぼく好きなんですよ。月刊絵本で出されたもので、特にお気に入りなのが『ビスケットのかけらがひとつ』『まいごのまめのつる』『おかえし』です。『トイレとっきゅう』をご存知の方も多いかもしれませんね。今回の『かきのみだいへんしん』は、千切り絵。なんとまあ、見事なんだろうと眺めてしまいます。彼女の感性が好きなんですね、たぶん。
さてさて、柿の木って、北海道ではあまり見かけませんよね。でも、本州から南の方へ行けば行くほど柿の木は増えていきます。九州までですかね。柿って日本とか中国とかにしかない東アジアの果物なんです。昔話にも出てきますよね。柿って。北海道に住んでいるとあまり馴染みがありませんが、日本の果物って感じがします。秋になると枝がしなるほどに重い実をたわわにつける風景とか、和な感じがしますよね。その中でも渋柿っていうのがあって、おいしそうだけど、生のままじゃ食べれないものは、干し柿にします。皮を剥いて軒に吊るして、じっくり干していくだけ。ぼくたちの普段の生活にはありませんが、絵本で出会いながら、想像してみて、干し柿が手に入ったら、1つでも2つでもいいので干してみてくださいね。(SF)

かがくのとも かもつれっしゃが ゆく
みねおみつ さく

「ん、この絵本知ってるな?」と思ったら『でんしゃはうたう』と同じみねおみつさんの作品でした。『でんしゃはうたう』は文が三宮麻由子さんで、とても印象的でしたが、なんとなく、この絵本の言葉も似ている気がします。ぼくはあまり乗り物自体には興味がないんですけど、この本はもうたまらなく好きな人たちが大勢いそうです。かがくのともは、図鑑的に一部を切り出して解説するのではなくて、物語のなかで多面的にテーマを捉えてくれるので、乗り物自体に興味がないぼくでも、とても興味をもって読んでしまいます。そこが、好きなところ。知らない世界にたっぷり出逢ってくださいね。この絵本を読んだ後に貨物列車が通ると、全然違った列車に見えそうです。(SF)

たくさんのふしぎ トナカイに生かされて シベリアの遊牧民ネネツ
長倉洋海 写真・文

シベリアの遊牧民ネネツは、農作物も収穫できないツンドラ地帯に暮らす民族。食べるため、生きるためにトナカイを飼っています。この本を読むと、無駄のない質素な暮らしが羨ましくなります。写真から伝わってくるトナカイの息づかいや暖かさ、ネネツの洋服の美しさ、シベリアの大地、空の青さも必見です。(AA)

母の友 こどもに聞かせる一日一話

さてさて今回は、毎年楽しみにされている方も多い、「こどもに聞かせる一日一話」。物語を自分で読むのと、読んでいるのを聞くのは全然違います。読むのは1人でもできるけど、聞くのは読む人がいて、聞く人がいないとできません。同じ物語を一緒に楽しむというのがいいです。大人もこどもも一緒に一日一話をお楽しみください。(TF)

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