甘さの加減

 

甘いもの、おやつの甘さの基準は難しいなぁと思います。疲れているときは甘みの強いもの。小腹が空いてる程度のときはそこそこの甘さでも満足と。逆に言えば、同じものでも体調によって甘さの感じ方が違うということです。家でお菓子を焼く習慣はなく、朝食はごはんと味噌汁。おやつ的役割のパンは切らさず焼いているものの、塩のみのカンパーニュと、常備してある豆乳と、油でふわふわにした食パン。ジャムだったり、はちみつだったり好きなものをつけて食べればいい、と思っているので、結局菓子パンも焼きません。

わが家にとって甘いものは、特別なもの。もしくは果物になっている気もします。せっかく食べるのだから、美味しいものをリッチに食べたい。果物をバクバク食べる。そんな想いからなのか、たべけんのおやつにはバターや生クリームを使用しています。自分へのご褒美と心の栄養と思って。
福島にいたとき、果樹園の生活は、おやつも生活の一部でした。あっさりの和食の朝ごはんが終わったら、日本茶とお菓子。作業の合間の10時と15時に一服としてコーヒーや紅茶とお菓子。夕方の小腹が空いたころには、パンやおせんべえなど。果物は飲み物や口直しの役割。外での仕事は休憩しながらではないと集中力が持たないので、ちょいちょい休憩が必要になります。そうなると、オイルで作ったクッキーやスコーンなどが欲しくなるから不思議です。
甘いものの存在は、ごはん以上に多様な役割を持っているような気がしていて、自由に、とらわれすぎず、身体が欲するものを楽しく作っています。みなさんは、甘いものとどういう風に付き合っていますか?

 


安斎明子
(あんざいあきこ)
たべるとくらしの研究所副理事長。畑担当の理事長が作った野菜たちにたっぷり手間暇をかけ、一切の無駄を出さずに絶妙な味を引き出す料理人。季節の果樹を使ったジャムなどの加工品や香味野菜のオイル漬けなど幅広く保存や加工を研究している。最も畑に近い料理人。