夏野菜の保存

畑から、どっと野菜が届いたかと思ったら、パタッと来なくなるのは自然のこと。均等に使うべく、常に保存作業が欠かせない中、1ヶ月位で使い切るような一時的保存のストック野菜には、冷凍・オイル漬け・酢漬けをフル活用しました。 最近の用語では「つくりおき」になるのかな(つくりおきは3日〜1週間くらい?)夏野菜は特に、この一時的保存、ストック野菜が向いていたと思っています。なぜなら、夏に漬け物のススメ。ってないですよね。

この夏、一度に収穫された大量のいんげん。その時に使いきれない分はサッと茹でて冷凍。冷凍したものは、スープや煮込み用に。大豊作のズッキーニ。かなり楽しませてもらったけど、おわりのには皮が硬くなったので、蒸して潰して冷凍へ。粉と合わせて店では生パスタ風に仕上げたり、ポタージュの出汁としても利用。万願寺とうがらし、ししとうなどは、酢を入れた焼きびたし風で保存。より傷みにくくするには水は不使用で。パプリカは、ドレッシングやマリネの香りづけに重宝するので、ピクルスに。もちろん脱気などしません。

これから始まる冬野菜は、漬け物や乾燥させたり常温長期保存も向いていますが、夏だけでなく、冷凍・冷蔵庫はスペースに限界があるので、回転させると思って一時保存にと考えています。 下処理によって使い勝手違うので、そこはコツも必要になりますが、失敗こそ経験です。夏と冬。季節とともに野菜も変化すれば、必要な仕事も変わっていきます。 今採れてるフレッシュの野菜、一時保存したストック野菜をリストに書き出し、それぞれに合った調理の仕方。味の決め手となる自家製調味料や、保存瓶ものと合わせていく。たべるとくらしの研究所のごはんは、「今、あるもの」言うなれば、足もとを知り、「これでこうなったら楽しいなぁ」と想像をふくらませて野菜と付き合い、もちろん、失敗もありつつ、1年間、ごはんをつくっています。

 


安斎明子
(あんざいあきこ)
たべるとくらしの研究所副理事長。畑担当の理事長が作った野菜たちにたっぷり手間暇をかけ、一切の無駄を出さずに絶妙な味を引き出す料理人。季節の果樹を使ったジャムなどの加工品や香味野菜のオイル漬けなど幅広く保存や加工を研究している。最も畑に近い料理人。