カゴが好きで色々なカゴを持っています。買い物カゴや物入れ、収穫の時に使うカゴなど、暮らしまわりのものから、お出かけ用まで様々です。世界各地でカゴは暮らしの一部として使われていて、素材に地域性が表れています。北海道は、やはり白樺のカゴと思っていたのですが、実はもっと私の身近にありました。それは、根曲がり竹のカゴです。蘭越町の温泉や道の駅で売られているのですが、ちょうど冬の間、町の根曲がり竹のカゴ編み教室があったので、参加してきました。期間は1週間。どんな大作ができるのかな?? と期待を膨らませていたら、土地の根曲がり竹そのものから、ナタ1本でヒゴを作り編んでいくという、タイムスリップしたような製作方法で、材料づくりに5日、編むのに2日かかって、小さなカゴが完成しました。
私がこどもの頃にはすでに電動の鉛筆削りがあったので、ナイフさえも日常で使わない暮らしの中で、ナタ1本で竹を割り、ヒゴになるまで薄くする作業は、ちょっと衝撃でした。怖がっていると進まないし、かえって危ない。ある程度の思い切りが必要。そして、講師の方の年齢の高さと熟練具合、美しい編み目にウットリしてしまいました。秋に何千本という根曲がり竹を切りに行くようです。雪国では昔から、「カゴや道具を編む」という行為が、雪で閉ざされた暮らしの知恵です。便利で美しく、丈夫であり、使えなくなったら自然に帰る。自作のカゴを持って散歩する日はもう少し先になりそうですが、地域のカゴとの出会いを通して、田舎は何もない訳ではなく、自然は全て揃っているんだよと、改めて気づかされました。それにしてもナタ1本で作り上げるとは、本当に衝撃でした。