山の中でキャンプをすると、テントの薄い布1枚が自分の家がわり。外では風の音や、虫たちのささやき、鳥や動物たちがすぐ近くにいるんじゃないかと、耳がやけに大きくなります。クマが出ないか、誰か襲ってこないか、おばけがうろうろしてるんじゃないかって、いつもは感じない不安が湧き上がってきます。怖くて外は覗けない、真っ暗だし。そんなふうに世界に心を開いているときに限って、不思議なことが起こるんですよ。 林明子 さく・え

冒険って聞くだけでわくわくしちゃいます。自然の中に遊びにいく前にぜひ読んでほしい一冊です。読むだけで冒険気分が盛り上がりますよ。もちろん、外で過ごすための役立つ知識がぎゅっと詰まっています。大人でも読み応えのある内容です。 さとうち藍 文 / 松岡達英 絵

ビーカー教授と、タンタンとハドック船長、それに、勘違いで乗り込んでしまった国際警察のデュポンとデュボン。なんと月でロケットを奪われそうになります。宇宙人？いえいえ、人間にですよ！ エルジェ 作 / 川口恵子 訳

外に出かけるのがとびきり楽しくなる、そんな本をお探しなら一番におすすめしたい。四季に沿った自然の中での遊び方ガイドです。ただ眺めるだけではなく、「ぬりえ」「さがす」「つくる」「あつめる」など、こどものやってみたいがぎゅっと詰まっています。本を片手に自分で発見できたらそれは大事な宝物になるでしょう。本の中に書き込めるようになっているので、外で遊びながら書いていけば、思い出が詰まった世界でひとつだけの本のできあがりです。 〈目次〉春：春の花をさがしましょう / カエルやオタマジャクシを見つけられるかな？ / ハチのホテルの作り方 / お花のタネまきの方法 / 木の枝や花びらを集めましょう 夏：夏の葉っぱをさがしましょう / ガの観察をしてみませんか？ / 池の生き物をしらべましょう / ヒナギクのお花をつなげましょう / 花や羽、貝を集めましょう 秋：秋の葉っぱをさがしましょう / 自然の恵みをさがしましょう / 葉っぱのこすりだしの方法 / 丸太で冬のおうちを作りましょう / 果実やベリー、ナッツを集めましょう 冬：冬の木々をさがしましょう /...

さてさて、カエルにおへそってついていたかな？ 不思議なおへそをもつ「おへそがえる・ごん」の物語。古い絵巻物みたいに、墨で引いた流れるような線。それもそのはず、日本でもっとも古い漫画ともいわれる「鳥獣人物戯画」みたいな絵本をつくろうと、赤羽末吉さんが作ったのがこの絵本です。鳥獣人物戯画は国宝になっている昔々の絵巻物です。 幼い頃、おもしろくて何度も読んでもらった記憶がありますが、言葉もテンポよく、物語自体もどんどん進んでいくので、読んでいるほうも、何となく乗せられてきてしまう。物語が全部、台詞の掛け合いで展開していくからでしょうか、とっても落語っぽいんです。息子に読んでいると、途中で「ぷっ」と吹き出す場面にも出くわすので、こっちまでうれしくなっちゃうのです。日本の昔話絵本といえば赤羽さんが真っ先に思い出す。 このシリーズ、3巻セットですが、今回（2020年）の復刊は7年ぶり。たまに、復刊してすぐに品切れるというパターンを繰り返しているのです。ですから、もしまだ持っていない方は、この機会を逃さぬよう、お見知り置きくださいませ！ぼくは、ごんの「えばるな　にんげん！」というセリフがとっても好きです。 赤羽末吉 さく・え

世界を飛び回るルポライターのタンタン。友人のビーカー教授の誘いで月へ行くことになりました。人類は、月を眺めるだけじゃなくて行くことができるんだ。最後に行ってから、もう50年も経つけどね。 エルジェ 作 / 川口恵子 訳

空の丸天井を支えている大きな釘。大きな地震とともにそれが抜け落ちてきそう。代々伝わるハンマーでその釘を打ちにいかねばなりません。そこで名乗りを上げたのが、はりっこでした。「ぼくだ、ぼくがいく！」。そういう時が人生の中では一度はあるものです。勇気を奮い立たせて、立ち向かわなければならない運命が。 読んでいて怖い場面になると、息子の鼻息が荒くなります。こどもってこういうふうに絵本を楽しむんだなと、 自分のこどもの頃の気持ちを思い出します。読みながら力が入る一冊です。 かんざわとしこ さく / ほりうちせいいち え

友達から「サンタクロースなんてどこにもいないんだよ」と言われた少年。クリスマスイヴの夜、白い蒸気に包まれた汽車が、少年を迎えにきます。急行「北極号」に乗り、不思議な夜の旅が始まります。 汽車に乗って夜を旅するわくわく感。物語が進むにつれ、どんどん引き込まれ、少年と旅をしているような気持ちになる1冊。一緒にどきどきしたり、うれしくなったり、悲しくなったり……。こどもだけでなく、大人にもおすすめの絵本です。ちなみに、映画『The Polar Express』の原作はこの絵本ですよ。サンタクロースっているのかな、いないのかなと思っているこどもたち、そしてすべての大人へ。   C・V・オールズバーグ 絵と文 / 村上春樹 訳