友達から「サンタクロースなんてどこにもいないんだよ」と言われた少年。クリスマスイヴの夜、白い蒸気に包まれた汽車が、少年を迎えにきます。急行「北極号」に乗り、不思議な夜の旅が始まります。 汽車に乗って夜を旅するわくわく感。物語が進むにつれ、どんどん引き込まれ、少年と旅をしているような気持ちになる1冊。一緒にどきどきしたり、うれしくなったり、悲しくなったり……。こどもだけでなく、大人にもおすすめの絵本です。ちなみに、映画『The Polar Express』の原作はこの絵本ですよ。サンタクロースっているのかな、いないのかなと思っているこどもたち、そしてすべての大人へ。   C・V・オールズバーグ 絵と文 / 村上春樹 訳

毎年冬になり、雪が少ない年は、いろいろなところで大人が「雪が少ないと楽でいいわね～」と話している声が聞こえてきます。けれど、こどもたちにとっては、雪がないのはやっぱり寂しいことでしょう。ふわふわ降る雪、そして キラキラ光る雪、雪の上につく足跡 、木が雪の服を着ているのはとても美しい。キーツのこの絵本は、いつ読んでもいいです。 エズラ・ジャック・キーツ ぶん・え / きじまはじめ やく

ある晩、狼の毛皮を身にまとい、ひどいいたずらをし始めた男の子マックス。お母さんに「このかいじゅう！」と怒られて、夕飯抜きで部屋に閉じ込められてしまった。すると、部屋から木が生えてきて、やがてマックスは怪獣たちがいる島へたどりつきます。マックスは怪獣たちの王様になって、そこでは何でも自分の思いのまま。けれどある時、どこからかおいしい匂いがしてきて、マックスは帰ることにしたのです。 モーリス・センダック さく / じんぐうてるお やく

男の子の遊ぶ力強さに満ちあふれた絵本。動物たちとどんどん同化していくような感覚を覚えます。この物語の制作秘話を聞いたことがあります。片山健さんが「今描くならこう書き換える」とおっしゃって、話し出した物語が忘れられません。物語はまだ続いているんだなぁって、その時に思ったのでした。 かたやまけん

ひとりの少年が、そりゃただもう一心に道を進んでいきます。いや、道ですらありません。目的地があるわけではなくて、進むことが目的なのです。どんどん進んで、疲れたら少し休む。それでいいですよね。 片山健

長新太 作・画

食べるのにも困ってどうしようもなくなり、大切な牛を手放すことに……。ところがどっこい、その牛を豆つぶと交換してしまったジャックを不思議な世界へと導くのでした。 ジョン・シェリー 再話・絵 / おびかゆうこ 訳

クマを切望するような深い愛情と、決して一体にはなれない切なさが、ひしひしと伝わってきます。人間もどんな動物も、同じ地球上に生きていることって、知っているけれど、実感できる人はとても少ない。 たくさんのふしぎ傑作集星野道夫 文・写真