しあわせなこと

クリスマスの絵本は山ほどありますが、新しい絵本で「これだ!」って思える絵本になかなか出会えずにいました。今年の新刊の中で楽しみにしていたのがこの絵本です。ようやく手に取ることができたので、ページをめくり始めるとぐいっと引き込まれてしまいました。しろくまのルーちゃんの気持ちに、スーッと心が寄せられていく感じ。絵と言葉がひとつになって、語りかけてくる感じ。そして、何回も読み返しても新しい発見があって、その奥行きがとっても心地よい。それに、ルーちゃんのまわりにいる人たちの心の使い方がとってもやさしくて……。いい絵本です。
絵本の中に絵本が描かれていることがあるんですが、そういうの気になりますよね。この絵本の中にも、おねえちゃんが読んでいる絵本があって、見たことあるなーって考えていたら、多分あの絵本だなっていうに思い当たりました。少しマニアックな楽しみ方ですが……。
クリスマスは、待つことを楽しむイベントだなと毎年思います。心に願いをひそめてその時を待つ。こどもも大人も真剣に強く願う。そういう気持ちを思いっきり使いたいなと思います。

ルーちゃんとクリスマスツリー
下村明香 ぶん / くわはらまい え
福音館書店 / 2019年発行