みなさま。あけましておめでとうございます。
庭しんぶん編集長の藤田進です。例年よりも寒さが厳しいのか、我が家が寒いのか分かりませんが、朝方の冷え込みが懐かしく感じるくらい冷たいです。布団から体を出すと、ピリッとするくらい冷たく感じは、小さい頃住んでた昭和らしいふるーい家で感じた寒さにそっくりです。さむい!
さあ、新年の幕開けです。
2021年、庭しんぶんを手にとってくださった方、定期購読をしてくださった方々、庭ビルにきてくださった皆々様。このようなつかみどころの難しい庭しんぶんを手にとっていただけることへの言い尽くせないほどの感謝とともに、本年も、どうぞよろしくお願いします。
庭しんぶん#53は、アーシュラ・K・ル=グウィン特集です。『影との戦い』に始まるゲド戦記シリーズの作者です。自分でも、なぜ、あんなに熱心に読んでいたのか、当時はわかりませんでしたが、今思うと、彼女の「葛藤の深さ」に共鳴していたのでした。
自己の葛藤だけではなく、男女の性差、家族の形、人種、能力や権力、生と死、宗教と欺瞞、真実と虚偽……。ゲド戦記は、至る所に葛藤の形跡を見つけることができます。葛藤は、児童文学の中にこそ必要な主要素です。何に葛藤しているのかもわからぬまま、がむしゃらな時期ってありますもん。そういうときに、ぼくは、ゲド戦記に助けられたのです。
ゲド戦記という名前は聞いたことがあっても、作品を読んでいる方は本当に少ない。みなさんに、ル=グウィンという人物を知ってほしい。そして、少しでも、いつか彼女の作品を手にする可能性をおおきくできればいいなぁ、と。そんな特集になりました。ゲド戦記の話ができる人が増えると嬉しいですし……。
この特集を書き終わったあとに、信さんが頼んでいた『ゲドを読む』という小冊子が編集部に届きました。ゲド戦記についた書かれているコラムや本などをみても、共感できるものが少ないのですが、この本の第1章にある『ゲド戦記』の愉しみ方は、とても面白かったので、ゲド好きの方はぜひ。
庭びとのみなさまへは年末(一部の方々は年明け)に発送することができました。お正月に読んでくださいね!
2022年、一緒につくっていきましょう。