こどものものは、こどもの元へ返す。

もう2年前のこと。息子が1年生になる時にふたりで2泊3日の旅にでた。何かと忙しい年度末とコロナの不穏な状況から飛び出して車を走らせる。1泊はテントを張って外で寝る。夜中、やけにふくろうが鳴いていた。その夜のことは今でも鮮明に思い出せる。

息子は春休みが終わったら3年生になる。ぼくと同じで学校のお勉強は得意そうには見えない。「育てられたように育つんだ」なんて言葉を聞くことがあるが、その通りだと思う。

自分が受け取った以上のものを、誰かに手渡すことは簡単なことではない。ただ、自分が受け取ったものを誰かに手渡すことはできる。自分の身の丈をわきまえること。いや、それは、自分がこども時代に受け取ったギフトを、なるべく自分が受け取ったときのままで、次のこどもたちの元へ返すことに違いない。

息子は、いろいろ話してみたくなる少年に育っている。だが、ぼくといえば、まだ何も彼に手渡せていない気がしてならない。

こどものものは、こどもの元へ返さねばなるまい。