転校を繰り返してきたこどもにかける言葉


Q

父親の仕事の都合で2〜3年おきに引っ越しして、転園・転校してきました。小学校高学年、中学生になり、難しい年頃、親も不安です。転校を控え、こどもにどんな言葉をかければよいですか?(40代・女性)

 

A

親も子も転勤の度に、自分なりのやり方で新しい住居、土地、人間関係に馴染む方法を身に付けてきたと思います。それは結構たくましいことだったと思います。けれども「難しい年頃」を迎えたところに今回の質問のポイントがあります。今まではこどもが新しい環境に馴染めず不安になったり、緊張した人間関係の中にある時、私がいるから大丈夫と言える自分がいたと思います。ところがこの次は今までとは違うと思っていますね。その予感は当たりです。「難しい年頃」とは、自分の中に他の人には絶対に知られたくない秘密を持つことです。また、自分と同調できる人を強く求め、反対に同調できない人とは関係が築けないことが多くなります。それは親密な関係を作る条件でもありますが、親からすれば「一体何考えてるの? この子は」ということになります。この年頃での転校ですから、親の不安は当然のこと。

さて、ここでちょっと深呼吸をして、お茶の時間にしましょう。美味しいおやつも用意します。誰か近くに居たら誘いましょう。ポットに熱いお湯を入れて……あなたが出来ることは、こういう時間と環境を作ることではないかと思います。意識的に作るのです。そうしてこどもから話し始めることに耳を傾けましょう。「ほーぉ」「なるほど」「そうなんだ」「へー! 」と相槌を打ちます。こんな時間を週に1、2度作れたらいいのではないかしら。結構大事なことを話してくれるようになります。こういう時間に 「お母さん、あなたのこと心配しているよ」と伝えられたらいい。僕はそれで十分だと思います。本当に自分を心配してくれる人がいると思えることが、この年頃には心のブレーキにもなり、エンジンにもなります。転校に伴う友だちとの別れの辛さを引きずりながら、その気持ちを切り替えるのは自分自身の中ですること。また、新しい環境と人間関係に向き合う勇気も自分の中で奮い立たせるもの。だから、あーだ、こーだと言わず、ゆったりと構えて「さあ、美味しいお菓子とお茶をどーぞ!」と言ってくれる人がいればそれで十分!

 


藤田春義
(ふじたはるよし)
1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。