こどもがやめて欲しい行動をしたとき


Q

やめて欲しい行動をこどもがした時には、「〜した方がよかったね」と伝えています。人の顔色を気にするのではなく、心地よい人間関係をつくれるように育って欲しいからです。それでも同じ行動を繰り返すこどもには、どう伝えたらよいでしょうか?(30代女性 保育士〈1児担当〉)

 

A

1歳児クラスのこどもは、自分が頼っている人に向かって、様々なやり方で望みを伝えます。言葉で伝えるのが難しいですから、言葉以外の方法も駆使します。望んだことが相手に伝わり、叶えられれば、「やめて欲しい行動をするこども」にはなりません。ところが、叶えられないことが繰り返されると、こどもは注目を集めるために、ちょっと困った行動をとります。普通のやり方ではだめだと判断して、「これくらいかな、これくらいかな」と、とっている試し行動です。それがある時注目されます。「やめて欲しい行動」です。でも受容されない注目では満足感はありません。満足感がないので何度でも繰り返すのです。これが、「やめて欲しい行動をするこども」です。

そんな時は、日常の生活を注意深く見て、褒めてあげて欲しいのです。特別なことをしなくても自分はちゃんと注目され、受け止められていると実感できることが大切です。例えば、ぴょんぴょんと飛び跳ねられるようになったなら、その様子に注目して一緒に喜ぶ。例えば、こどもの好きな絵本をこどもの求めに応じて繰り返し読んであげる。例えば、短時間でも2人だけで園庭を一回りするなどをして気持ちを合わせる機会を設けます。その時に必ず、目を見ること、声をかけること、触れることの3つを同時にするように心がけましょう。十分な注目と受容を経験したならば、こどもや大人と心地よい関係を作れるようになります。そうすれば困った行動をする必要がなくなります。

「〜した方がよかったね」の言葉は、相談者の意に反して、「私の望むあなたでなければ受け入れられませんよ」という意味でこどもに伝わります。もしも、ことごとく大人の提案に応えるこどもになってしまったら、相談者の言葉にあるような「大人の顔色を気にするこども」になって、こどもらしい命は失われます。1歳のこどもたちは、注目と受容を求めながら日々挑戦する賢い冒険者です。人間として尊敬を持って接するべきと私は思います。

 


藤田春義
(ふじたはるよし)
1954年秋田県生まれ。大阪社会事業短大専攻科卒。むかわ町にて保育のしごとを6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996 年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。年間 50 本以上の保育研修を実施。2000年より保育実践セミナーを主宰し、幼稚園や保育園の先生と絵本や伝承わらべ 唄、子どもの遊びについてセミナーを開催している。2019年度から研修部門をメインに活動する。北翔大学短期大学部非常勤講師。