気のいい動物たちが大好きなリゼットおばあちゃんの76歳の誕生日をお祝いします。そりゃもうたくさんの出し物がでてくるのですが、彼女が「なによりすてきだわ！」といった贈り物は、なんと3週間まえからひっそりと隠していた特別な贈りもの。お祝いを心に秘めて、3週間も過ごせるなんて、お祝いする方も幸せかもしれませんね。平静を装えない人は無理か……。その気持ちがぼくはとっても好きです。 ハンス・フィッシャー ぶん・え / おおつかゆうぞう やく

森には不思議なできごとがいっぱいです。人間がわかっていないこと、気がついてもいないこと、知らないことがたくさん詰まった場所です。ぐりとぐらみたいに、森を歩いていて大きな卵を見つけちゃうことだってあります。自分とはまったく姿形が違うたくさんの生き物たちが、一緒に住んでいる場所ですもんね、森って。そりゃ不思議なことがたくさん起こるのも当たり前！ なんであんなところに卵が落ちてたんでしょう？ 誰か知っている人がいたら教えてください。 なかがわりえこ / おおむらゆりこ

死んでほしくない大切な命が、とても理不尽な理由で死んでしまうことがあります。どんなに死なないでほしいと願っても、叶わないことがあります。とても悲しいし悔しいけど、自分の力ではどうにもできないこともあるんだ。モンゴルに伝わる楽器、馬頭琴の由来。少年と馬のお話。 大塚勇三 再話 / 赤羽末吉 画

おじいさんとおばあさんが住む古い家。そこへ、子馬を盗もうと忍び込んだ泥棒が忍びこみました。息をひそめて機会を伺っていたところ、おじいさんとおばあさんにとってこの世で1番怖いものは、泥棒や狼よりも「ふるやのもり」だという話を、聞いてしまいます。その「ふるやのもり」ってのは何者なのだろうと、恐々としながら身を潜ひそめていると……。なんと、そこへ「ふるやのもり」がやってきたのでした。 瀬田貞二 再話 / 田島征三 絵

ペレは、小さな羊を持っていました。ペレは育ち盛りの男の子。服はどんどん小さくなっています。彼は羊の毛を刈りました。そして、手仕事ができる人たちを訪ねて、自分のできる仕事をする代わりに、少しずつ、毛を加工してもらうのでした。羊から刈った毛が、どんどん姿を変えて、最後には……。自分にはできないことはたくさんあります。そんなときは、できる人に力を借りて、自分の欲しいものを手に入れることができるのです。お金で買わなくても、できる人を知っていれば。そして、自分のできることで返礼できればいいのです。もともと、そういうふうに社会は助け合って、結び合っていたのだと思うのです。 エルサ・ベスコフ さく・え / おのでらゆりこ やく

プッテは、かごを2つ持って、ブルーベリーとこけももを摘みに森へやってきました。お母さんの誕生日の贈り物にしようと思ったのです。でもなかなか見つからない！ 森からプレゼントを選ぶなんてすてきです。そんな森が近くにできないかなぁ。 エルサ・ベスコフ さく・え / おのでらゆりこ やく

しんしんと雪が降り積もる夜中に散歩にでると、足元の雪を踏みしめる「ギキュッ」という音が体に響く。雪に吸い込まれた音がはっきりと聞こえる。「しずかだなぁ」と思い、足を止めて空を見上げると「パツパツパツ」とアウターに雪が当たる音が響く。キーンと冷えて静かな夜にいっそう耳を澄ましてみると、全身が音に取り囲まれる。雪国育ちだからわかるこの感覚。つまり、体のどこかに音の記憶があるから想像できる世界がある。『よあけ』は「おともなく」から始まるのだが、その言葉のせいでのっけから音を意識してしまう。きっと、体のどこかに音の記憶があるのだろう。その音を体で感じてみたいなぁと思う。絵本で出会う初めての音の世界ってあるわけです。いまだ聞いたことのない音、出会ったことのない音や風景。この本は、まさに絵本を片手にその音を探しにいきたくなる一冊。さて、どの湖にしようかしらん。 ユリー・シュルヴィッツ 作・画 / 瀬田貞二 訳

君には好きな森がありますか？ 森の中を歩いていると「なんかここ落ち着くなぁ」という場所に出会うことがあります。そんな時は、腰を下ろしてしばらく静かにしています。すると、影に隠れていた小さな生き物たちがいっせいに動きだし、小さな物音がよく聞こえてきます。人が滅多に入ることのない深い深い森の奥には、こびとが暮らしています。これは6人のこびとの家族のお話で、ぼくがとっても好きな絵本の一冊です。コウモリにのって空を飛んだり、リスやカエルと遊んだり、冬はウサギに引いてもらってソリ遊びとか楽しいことばかりやって過ごしているように見えますね。学校の先生はフクロウで、森のありとあらゆることを教えてくれます。鳥や動物たちの言葉も教えてくれるんだ。ぼくもフクロウ先生に教わりたい。それにしても、この絵本のなかには何種類の動植物がでてくるんだろう。森にはたくさんの生き物たちが暮らしている。そして、森は彼らを育ててくれる。 エルサ・ベスコフ さく・え / おおつかゆうぞう やく