兄弟姉妹っていう言葉は、ふだんあまり人間以外に使いませんよね。この本では、 鹿に「兄弟」と語りかけています。鹿の毛皮でつくった服をまとい、鹿の腱で縫い合わせた靴をはき、鹿の肉を食べて命をつなぐ。自分と鹿の命が強く結び合っていること。鹿が自分たちにとって、かけがえのない存在だということを深く知っているからです。僕は、庭ビルに引っ越してくる前に、Brother Sun Sister Moonという小さなお店を営業していました。太陽に向かって、「よう兄弟!」、月に向かって「今日もいい夜だね、姉さん」と呼びかける。 そんな生き方がしたいなと思ったからで す。そして、地球上には太陽と月が養ってくれている自然界があり、そこに動植物(兄弟姉妹)がいます。人も自然の一部 で、動植物の一部です。ですから、自然を深く知ることはできますが、支配することはできません。 自然に対して、神と崇めるのでも、支配しようとするのでもなく、兄弟姉妹って語りかける関係性が僕にとってちょうどいい。
神沢利子 作 / G・D・パヴリーシン 絵
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