月刊絵本2020年10月号


こどものとも 0.1.2. はんぶんこ
杜今日子 さく

「いいもの食べてるねぇ」と声をかけると、手に持っているものをジッと見つめてしばらく考えたあとに、「はい、どうぞ」と渡してくれます。全部いただくのは申し訳ないので「じゃあ、はんぶんこしよっか」ということになるわけです。これは我が家の「はんぶんこ」。兄弟姉妹で1つしかないものを分けっこする「はんぶんこ」もありますね。親子で、おじいちゃんやおばあちゃんと、こどもとの「はんぶんこ」もあります。そして「はんぶんこ」は必ず均等にはならなくて、こどもは小さい方を私にくれるのは我が家だけでしょうか(笑)?(AA)

こどものとも年少版 わたし てじなし
佐々木マキ

あかちゃんの機嫌がなおりません。ずっと泣いています。そこで手品師の登場です。さて、あかちゃんのご機嫌はいかに!?なんと手品師の全ての技をもってしても、赤ちゃんを笑顔にすることはできませんでした。「これをしたら喜んでくれるかも!」なんて思っても、ご機嫌次第だったりしますしね。大人が考える楽しみと、こどもの喜びは、ずいぶん違うのかもしれませんね。佐々木マキさんの作品は、独特のユーモアに加えて、鋭さがチラチラ見え隠れするのが好きです。(SF)

こどものとも年中向き こぎつねとみつばち
こじまさとみ さく

蜂をビニールハウスの中に放して作物を育てるお手伝いをしてもらう、という話を聞いたことがあります。自然界ではどこからともなく蜂がやってきて、花に入り込み蜜を集めて、巣へ戻っていきます。その時に「受粉」してくれるというわけです。この絵本の中でも、こぎつねくんが育てたかぼちゃの花にみつばちが集まってきます。こどもたちはこぎつねくんの気持ちに共感して、みつばちの大切さを理解してくれるでしょう。この絵本を読んだら、畑に出かけて、みつばち探しをしてみてはいかがでしょうか。お気づきの方もいるかと思いますが『やさいばたけのやまねこさん』の続編です。素敵な絵本。(AA)

こどものとも ぎんいろ ぴかぴか
黒崎美穂 文 / 松成真理子 絵

主人公のサトばあちゃん。おばあちゃんのお話に弱い私は、最初の1ページを読んだ瞬間から、涙を流す予感がしました。表紙とタイトルを見たときにはお月様のお話かしら?と思ったけれど、この明るいふわっとした感じはもしや天国!?でも読み進めていくと、いい意味で期待は裏切られ、ずっとわくわくしっぱなし。それもそのはず、作者の黒崎さんは元保育士で、楽しい経験がもとになったお話だったのです。こどもとの楽しい体験が絵本になり、それがまたこどもたちの遊びにつながる。とても素敵な連鎖が起きそうです。ぎんいろぴかぴかをカラァリカラァリまわして、おいしいものがどんどん出てくるのは幸せなこと。(TF)

ちいさなかがくのとも ボートに のろうよ
杉田比呂美 さく

この絵本を片手に、公園の手漕ぎボート乗り場に let’s go!ボートの上でこどもと一緒に読んでみてください!ボートに乗ったことのある方もない方も、新しい発見があるはずです。そしてそのお役目は、力持ちのおじいちゃんやお父さんに是非ともお願いしたい。こどもたちはオールを漕ぐおじいちゃんやお父さんを応援してくれますよ!(AA)

かがくのとも うきくさ
野坂勇作 さく

野坂さんに昨年お会いして、制作中の『うきくさ』の話を聞いて楽しみにしていました。いやはや、いままで浮き草のことなんて全然考えたことなかった。根があるけど、浮いている植物ってとっても不思議。そして、流れに身を任せていろんなところに旅をしているんですね。小さな世界に目を止めて、それをこどもと一緒に分かち合う。それって、簡単なこともあるし、なかなか難しくて大変なこともあります。このうきくさはとっても大変だったはずです。来月、野坂さんにまたお会いするので、その話をじっくり聴いてみます。(SF)

たくさんのふしぎ 光の正体
江馬一弘 文 / 松井しのぶ 絵

「光の正体」なんて今まで考えたこともありませんでしたが、初めて知ることが盛りだくさんで、何度もページを行ったり来たりしながら夢中で読みました。太陽の光が当たると床や壁に虹色が映る「サンキャッチャー」。ろばのこに太陽の光が入る朝の時間、店内に虹色がきらめいて本当にきれいです。でも「なんで虹色が映るの?」なんて質問されたら「えっ!太陽の光が当たって反射して……ん~?」。きっと虹ができる原理と同じなんじゃないかと思いますが、そもそも虹ってどうやってできているの?知っているつもりなのに知らないことばかり。読み終わったらどうしても共感してほしくて、隣に立っていたスタッフに「これすごい!お願いだから読んでみて」とすぐに読んでもらいました(笑)。(TF)

母の友 今だから、昔話

この特集を読み終わる頃には、そうか「今だから、昔話」と納得してしまうかもしれません。終わりが見えないコロナと向き合いながらの生活。いつもと違う生活様式、これからどうなるかがわからない。個人差はあるにしても、みんな不安を抱えていると思います。もちろんこどもも不安を感じています。そんなこどもにどのようなケアをしたらいいのかわからない方も多いのではないでしょうか?昔話の研究者である、小澤俊夫さんはその方法の一つに「お話」があると言います。「なぜお話が?」と疑わず、小澤俊夫さんの温かい言葉に癒されながら今回の母の友を楽しんでいただければと思います。そして、『ぶたぶたくんのおかいもの』が50周年なんですって。「ぶたぶたくん」も「お話」から生まれました!(TF)

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