庭しんぶん29号(2020年1月)掲載の「どのくらいの重さ?」。何問正解しましたか? 庭しんぶんには掲載できなかった解説を、こちらに掲載します。どうぞお楽しみください。
問題
空を飛ぶことのできる鳥は、どれくらいの重さをしているでしょう見た目以上に軽いからだを持つ鳥たち。その大きさに惑わされず、体重に近い重さのものを選んでみよう。
【答え・解説】
シジュウカラ = 11〜20g ○しいたけ1つ(約18g)×鶏卵Mサイズ1つ(約58〜64g)
キクイタダキ = 5〜7g ○角砂糖2個(約6g)×500円玉2枚(約14g)
ユキホオジロ = 28〜50g ○納豆1パック(約40〜50g)×割り箸1膳(約4g)
軽いからだのひみつ
2足歩行が人間らしさを形作る大切な要素であるのと同じように、鳥にとって空を飛ぶことは、その存在を大きく特徴づける要素のひとつでしょう。人間が完全な2足歩行を手に入れたのは、今から約300万年前とされています。一方で、今から約1憶年前には、現代の鳥と基本的に同じ構造で飛行することのできる鳥が出現していました。鳥は、人間が2足歩行で生活を営むはるか以前から、大空を飛び回ることができたのです。
鳥たちはどのように進化し、空という広大な空間を手に入れることができたのでしょう。その秘密は鳥の体にあります。秘密のひとつは、体の「軽さ」です。飛行できる種類の鳥を手に乗せたことのある多くの人が、その鳥の見た目から想像する重さよりも、その鳥の体重がはるかに軽いことに驚くはずです。例えば、日本に生息する最も軽い鳥の種類は、全長9~10cm程のキクイタダキという種類で、体重はわずか5~7g程しかありません。これは角砂糖2個分程の重さにあたります。キクイタダキとほとんど同じ大きさの哺乳類であるエゾヤチネズミ(頭胴長約10~14㎝)の体重が20~45gであることを考えると、驚異的な軽さであることがわかります。
鳥の身体には、この軽さを実現する様々な仕組みが備わっています。くちばしは、翼となった前足の代わりを担うとともに、食物を丸のみにすることで歯や顎といった重い骨を必要としなくなりました。頭部を軽くすることで、重心は体に近くなり、安定して飛行することができます。また、鳥の身体を支えるほとんどの骨の中は中空になっており、柱状の構造が張り巡らされていることで、軽さと丈夫さを兼ね備えています。骨だけにとどまらず、翼や身体を覆う羽根は、軸の中までもが中空になっています。さらには、効率よくエネルギーを取り出すことのできる短い消化器官によって、食べ物や水分を体に留める時間を短くし、余分なものをこまめに排出することで体を軽く保つことができるのです。
鳥はこの様に、徹底的ともいえる程、体を飛行に適した形に変えてきました。見た目以上に軽い鳥の体には、とてつもなく長い進化の歴史が詰まっているのです。