各章の見出しの下に、色々な本の言葉の引用が書いてあって、それがガイドとなって物語が始まります。しかも、主人公は、物語を朗読すると本の中の登場人物を呼び出してしまう魔法の声を持った男で、無類の本好き。 本の言葉が互いに影響しあって新しい物語ができる。そのつくり方がとてもおもしろい。それに、作者が読んだ本を知ることができるのは、頭の中を覗くようで、また違う楽しみがあります。 物語ってその時々で語りかけてくる言葉が違います。中学生の時に読んだ物語を、中年になって読み返すと印象がガラリと変わることがあります。たぶん、 物語ってのは自分の中に入っている言葉によって、受け取り方がかわるんでしょうね。言葉と言葉が影響しあっ て、そこにそれぞれの物語が浮かび上がってくるのかもしれません。
コルネーリア・フンケ / 浅見昇吾 訳
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