主人公の少年チトには才能がふたつあります。ひとつは「問いかける力」。そしてもうひとつは、チトの親友の庭師ムスターシュしか知らない、「植物を芽吹かせる素質=みどりのゆび」。ムスターシュは、チトが問いに立ち向かう力を与えてくれる大切な友達でした。友情とは、年齢や性別や国籍に関係のない結びつきのこと。チトの最後の問いは「死」についてでした。でも、その問いに寄り添ってくれるムスターシュは、もういなかったのです。チトは明確な答えを出さないままでこの物語は終わります。ぼくは、この物語には続きがあるような気がしています。この物語はたくさんの人と分かち合いたい、語らいたい一冊です。
モーリス・ドリュオン 作 / 安東次男 訳
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