月刊絵本2019年11月号のご紹介


こどものとも0.1.2『こっちむいて ほいっ』
藤井蓮・作
福音館書店 / 2019.11

また、すごい本がでてきましたよ!嬉しいです。藤井蓮さんをこの絵本で知りましたが、いっぺんに惚れ込んでしまいました。貼り絵で生き物たちがこっちを向いてくれる、その感じがとってもいい。説明できないので、これはみんな手に入れてください。貼り絵ですが金魚のリアリティを失うことなく、やわらかく表現されています。それっぽいものでは、まだいろんなものに出会ったことのない乳児にはわかりにくい場合もあるのです。ですから、本物を見て描かれているもの、本物らしいものであることとって意外と大事。赤ちゃんは大人よりも新鮮で敏感な感性をもってる存在ですからね。藤井さん、札幌で個展をやってくれないものでしょうか。親子の心地よい関わりを心地よく助けてくれる良書です。

 

 

こどものとも年少版『ものうりうた』
雪舟えま・文 / 植垣歩子・絵
福音館書店 / 2019.11

お店屋さんが、ものを売る時には、調子よくお客さんを誘う歌が必要ですよ。お店屋さんは、通りを歩いているお客さんをその気にさせないとね。この絵本には、いろいろなお店の誘い歌が載っています。自分たちで調子いい節をつけてもよし、自分のお店に合わせて新しく作ってもよし、遊びはどんどん広がります。セールとか安売りはしなくてもいいでしょう。お腹が減るような調子だったり、ついつい振り向いてしまうような文句だったり、いろんな誘い歌ができそうですね。「えー、しんぶん、しんぶん、にわにわにわにわにわしんぶん!おひとついかが、にわしんぶん!」みたいな……。いまは、めっきり聞かなくなりましたね。だからこそ、遊んでしまいましょう。いろんな歌が生まれるといいなぁ。

 

こどものとも年中向き『まあくんの いもほり』
おおともやすお・作
福音館書店 / 2019.11

おおともさんが描く絵本は、こどもの姿をよくこんなに巧みに捉えるなぁといつも感心してしまいます。主人公のまあくんは、いもほりが楽しみでしかたなくって、とってもはりきって出発します。そして、掘り出したら掘ることに夢中になって後先考えずに掘りまくるのでした。大人は、ついつい先の見通しなんかを考えてしまうので、自分を抑えたりするんですけど、彼は違います。だって、こどもですもんね。おいもを入れるリュックだって、お父さんの大きなものを借りてきました。さあ、たくさんたくさん掘ったおいもを、保育園まで持って帰ることができるんでしょうか。まあくんは、一生懸命がんばります。途中で大泣きしちゃうんです。でもね、最後は……。

 

こどものとも『おにの神さん』
岩城範枝・文 / 三瀬夏乃介・絵
福音館書店 / 2019.11

表紙もそうですが、絵全体が黒がかっており、どこかおどろおどろしい雰囲気。息子は、絵だけ見て読みたがりませんでした。こういうちょっと怖いなって思う絵本もたまにはどうぞ。読んで見ようとうまいこと誘ってまた挑戦しようと思っているところ。この物語は、京都を舞台にした鬼のお話です。この鬼は守り神としての鬼。昔話ではなく創作ですが、奥行きと読み応えのあるお話になっています。さあ、いつ息子はこの本を聞いてくれるでしょうか。臆病さも個性の一つですけど、こどもなりに恐怖を感じているんでしょうね。そこらへんの感覚が不思議でついつい、読んでみたくなります。

 

ちいさなかがくのとも『わたしの だいこん』
飯野まき・さく
福音館書店 / 2019.11

大根を抜いたことありますか?しかも、誰かに助けてもらうことなく、自分の力だけでですよ。大根は、地面深くまで根を伸ばして、その根が太くなる野菜です。だから、収穫するのも引っ張らないとできません。普段、お店屋さんで見るのは、きれいになってる大根たちですので、土の中にどうやって埋まっているのか、わからない人もいるかもしれませんね。さてさて、大根を抜くにはコツがありますよ。この絵本に出てくるおじいさんに聞いてみてください。大人は、こどもができなくてもすぐに手助けしないで、どうやったら抜けるのか一緒に考えて、アドバイスをしてあげてくださいね。自分だけの力で達成できる喜びを奪わないように気をつけて。今年の大根は、太くて大きい大根がよくなっていると聞きましたよ。おでんとか鍋とか、大根料理が楽しみです。

 

かがくのとも『はさみむし』
石森愛彦・さく
福音館書店 / 2019.11

誰もが知っているハサミムシ。名前も見た目もわかりやすいので、馴染みのある昆虫です。馴染みがあるけど、知っていることといえばごくわずか。この絵本を読むとヒゲジロハサミムシのことを、もう少し詳しく知ることができます。彼らの子育ての姿なんかとっても心を惹かれます。ひとつひとつの卵を丁寧にお世話しながら孵化を待つのです。人間と違い命のサイクルが短い昆虫たち。彼らの生き方を知るだけで、季節や自然、環境のことを意識させられます。こどもの興味や関心は、ふとしたことから生まれます。それはお散歩の最中だったり、絵本だったり、映像だったり色々。生活の中で出会うものをもうすこし、踏み込んで知ること。そこから知識や好奇心への入り口が始まります。

 

たくさんのふしぎ『馬と生きる』
澄川嘉彦・文 / 五十嵐大介・絵
福音館書店 / 2019.11

石油で動く機械がまだ普及していなかったころには、みんな馬や牛を使って力仕事をしていました。ほんの少し昔のこと。この本は、いまも馬を使って木から木材を運ぶ「地駄引き」をしている見方さんという人のお話です。馬に触ったことありますか?もう僕たちの生活から馬は消えてしまっています。馬いいなぁ。

 

母の友 「こどもに聞かせる一日一話」
福音館書店 / 2019.11

今月は、こどもに聞かせる一日一話が載っています。名だたる作家さんたちの物語が並んでいて、チラチラ眺めるのが好きです。相変わらず読み応えがあります。ハンバートハンバートの夫婦のインタビューもあったりして、ちょっと新鮮な感じ。角野栄子さんのインタビューが掲載されています。角野さんの本棚にはスージー・リーが。いつも、人の本棚って気になります。

 

 

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